ヌックという、小さな“居場所”のつくり方
カテゴリー :家づくりを考える
― こもれるけれど、孤立しない空間 ―
最近よく耳にする「ヌック(nook)」という言葉。もともとは“こぢんまりとした居心地のよい場所”という意味です。
広いリビングとは違う。個室とも違う。
包まれるような場所。それがヌックです。
なぜ、今ヌックが求められているのか
家族が同じ空間にいながらも、それぞれの時間を大切にしたい。でも、個室にこもりたくはない。
そんな暮らしの感覚が、ヌックという形に表れています。
・読書をする
・子どもが宿題をする
・赤ちゃんが昼寝をする
・大人が少し横になる
・窓辺でコーヒーを飲む
使い方は、家族の年齢やライフステージによって変わっていきます。
“用途を決めすぎない”ことが、長く愛される理由です。
ヌックは、設計次第で心地よさが変わる
小さな空間だからこそ、素材・光・高さ・奥行きがとても重要です。
例えば、
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床を一段上げることで、心理的な区切りをつくる
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天井を少し下げて、包まれ感を出す
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窓辺に配置して自然光を取り込む
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無垢の床材で、素足が気持ちいい空間にする
ただ“スペースをつくる”のではなく、どう感じるかを設計する。それが大切だと私たちは考えています。
【事例紹介】窓辺のヌックがある家
あるお客様の住まいでは、リビングの南側、大きな窓辺にヌックを設けました。
設計の初期段階から「ヌックをつくりたい」というご希望があり、それはご主人のための憩いの場所でした。
高さを少し上げたベンチタイプ。下部は本をたっぷり収められる造作収納に。窓の両側にも棚を設け、読書好きなご主人の本が並びます。
これから広い庭を果樹園にしていく予定のこの家。ヌックの窓からは、その景色を眺められるように設計しました。
ひとりで本を読む時間。けれど、場所はリビングとキッチンのすぐそば。
家族の気配は感じながら、そっと自分の世界に入れる距離感です。
入居後、ご主人はこうおっしゃっていました。
「クッションにもたれてボーっとできるこの場所から、自慢の庭を眺めていられるのが何よりの贅沢。柔らかな光に包まれ、本を読んだり、考え事をしたり、大好きなコーヒーを飲んだり、うたたねをしたり。心が自然と整います。」

大きな家より、豊かな家へ
家づくりは、足し算ではなく引き算。広さを求めるより、居場所を丁寧につくる。
ヌックは、面積以上の価値を生み出します。
何帖あるかではなく、どんな時間が流れるか。
小さな居場所があるだけで、家の中の風景は、ぐっと豊かになります。







