梅雨になると気になる“におい”の話
カテゴリー :家づくりを考える
6月に入り、外の空気も湿り気を帯びてきましたね。
この時期、お客様からよく聞くのが
「普段は気にならないのに、梅雨になると家の中のにおいが気になる」という声です。
とくに多いのが、
「トイレのにおいがなぜか強く感じられる」
「ペットのにおいがいつもよりこもる」
「玄関やクローゼットがモワッとする」などなど。
今回はそんな“梅雨のにおい問題”の原因と、住まいの工夫でできる対策についてお話ししたいと思います。
においの正体は「湿気にのった空気のよどみ」
まず知っておきたいのは、においの正体は「空気中に漂う微粒子」であり、
その多くが湿気にのって漂いやすくなるということです。
梅雨になると空気中の湿度が上がり、壁や床、カーテン、布製品などが湿気を含みます。
この「湿った素材」ににおい成分が吸着したり、雑菌が繁殖しやすくなったりすることで、
普段は感じないにおいが急に気になるようになるのです。
つまり、におい対策=湿気対策でもあるんですね。
風のない場所は“においの溜まり場”になる
においがこもるのは、空気の動きがない場所に多く見られます。
トイレや洗面室、ペットコーナー、下駄箱やウォークインクローゼットなどが典型です。
こうした空間には意識的に「風の通り道」をつくってあげることが大切です。
たとえば、トイレの換気扇を「使うときだけ」ではなく、
梅雨のあいだは常時弱運転にしておくこともおすすめです。
また、扉の下にスリットを設けたり、対面する窓を同時に開けたりして、
「においが出る場所」だけでなく「逃げていける場所」もつくっておくことが大切です。
においを吸ってくれる「素材の力」
もうひとつ、大切なのが素材選びです。
ビニールクロスや合板の床など、表面がツルツルした素材は、湿気やにおいを「吸ったり吐いたり」できません。
その点、漆喰・珪藻土・和紙・無垢の木材などは
自然に調湿しながら、におい成分もやわらげてくれる頼れる素材たち。
「梅雨時のにおいが気にならない」というお客様の声の裏には、
こうした素材の働きがあるのだと実感しています。
“香り”ではなく“空気の質”で快適に
消臭スプレーや芳香剤でにおいをごまかすのではなく、
においの原因にしっかり向き合い、空気の流れと素材の力で整えていく。
それが、梅雨を気持ちよく乗り切るコツです。
家は暮らす人の気配や気候の影響を受けながら、日々呼吸しています。
その呼吸を助けてあげるような工夫をしていくと、
不思議と「におい」も、気にならなくなっていくのかもしれません。