漆喰DIYをやめたほうが良い理由
最近は、ホームセンターやインターネットで、DIY用の漆喰を手軽に購入できるようになりました。
「自分たちで漆喰を塗れば、費用を抑えられるのでは?」
「家族で壁を塗るのも楽しそう」
そんなふうに考える方もいらっしゃると思います。
確かにDIYには、費用を抑えられることや、自分たちの手で住まいをつくる楽しさがあります。材料によっては、手軽に作業を始められるのも魅力です。
ただし、漆喰のDIYには、始める前に知っておきたいこともあります。
今回は、漆喰DIYのメリットとデメリット、そして私たちエアサイクル東京が、なぜ素材選びと職人による施工にこだわるのかをお伝えします。
目次
① 漆喰を塗るより、準備のほうが大変?
漆喰DIYというと、コテを使って壁を塗る作業を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、実際には塗る前の準備にも大変な手間がかかります。
壁の継ぎ目や凹凸を整える下地処理。床や窓枠、コンセントなどを汚さないための養生。
こうした作業を丁寧に行わないと、せっかく漆喰を塗っても、仕上がりにムラができたり、ひび割れや剥がれの原因になったりすることがあります。
以前、当社でリフォームをされたお客様が、ご自身で漆喰を塗られたことがありました。
手先が器用な奥様で、仕上がりもなかなかきれいでした。
ところが、施工を終えた奥様は、「もう一度やりたいとは思わない」とおっしゃっいました。
理由は、下地処理や養生など、塗る前の準備が想像以上に大変だったから。
実際にやってみて初めてわかる、職人の仕事の大変さがあります。

(下処理)扉にビニールをかける。

(下処理)巾木や枠に養生テープを貼り、コンセントを外す
これは、家庭菜園にも似ているかもしれません。
農薬を使わない野菜を食べたくて、自分で野菜を育てる。
実際にやってみると、土を耕すところから始まり、毎日の水やり、雑草取り。そして、農薬を使わなければ、虫がたくさんつくこともあります。
葉っぱについた虫を、一匹ずつ手で取り除くことだってあります。
野菜を育てるって、想像以上に大変なことなんですよね。
だからこそ、手間ひまかけて野菜を育てている農家さんの苦労や、仕事の価値がわかります。
漆喰の壁も、それに似ていると思います。
コテで塗る作業だけを見ていると、簡単そうに思えるかもしれません。
でも、その仕上がりの裏には、たくさんの手間と技術があります。
自分でやってみるのもいい。でも、プロに任せることには、それだけの理由があるのです。
② 漆喰でも、原材料は同じではない

もうひとつ知っておきたいのが、漆喰の原材料についてです。
漆喰は、主に消石灰を原料とする自然素材の壁材ですが、「漆喰」として販売されている商品が、すべて同じ成分でできているわけではありません。
DIY向けの商品には、塗りやすさや接着性などを考慮して、合成樹脂などを配合しているものもあります。
もちろん、合成樹脂を使用していない商品もあり、一概にDIY用だから良くないということではありません。
大切なのは、何を目的に漆喰を選ぶのかということ。
見た目の風合いを楽しみたいのか。それとも、素材そのものが持つ性質まで大切にしたいのか。
漆喰には、湿気を吸収・放出する調湿作用や、においの原因となる物質を吸着する性質があります。
ただし、その働きは原材料や配合、施工方法などによって異なります。
漆喰本来の性質を重視するのであれば、見た目や塗りやすさだけでなく、何が含まれているのかも確認しておきたいところです。
③ 仕上がりを左右するのは、職人の技術

最近のDIY用漆喰は扱いやすく、初めての方でもきれいに仕上げられる商品が増えています。
それでも、長年経験を積んだ左官職人の仕事には、やはり違いがあります。
壁の状態を見極め、材料の硬さや乾き具合を確かめながら、コテを動かしていく。
広い壁面を均一に仕上げることも、細かな部分を美しく納めることも、経験と技術があってこそできる仕事です。特に天井に漆喰を塗る作業は、高い技術と経験が必要なので、他社では天井に塗るのを嫌がる職人さんもいると聞きます。
漆喰の壁は、工場で完成した建材をそのまま取り付けるものではありません。
職人が現場で、一面一面つくり上げていくものです。
その仕上がりには、目に見えない多くの手間と技術が詰まっています。
私たちが、素材と職人にこだわる理由
わたしたちは、仕上げ材に合成樹脂や化学糊を使わない漆喰を採用しています。
それは、単に自然素材を使いたいからではありません。
漆喰という素材が持つ
・湿度を調整するチカラ
・ニオイを吸着分解するチカラ
・強度
・耐火性
・見た目の美しさ
・ロングライフ
そういった性質をつかって、心地よい住まいをつくりたいと考えているからです。
そして、どれほど良い素材を選んでも、それを生かす職人の技術がなければ、私たちが目指す壁にはなりません。
吟味した素材を、信頼できる職人の手で仕上げる。この両方がそろって初めて、私たちが大切にしている漆喰の壁になります。
DIYには、費用を抑えられることや、自分たちでつくる楽しさがあります。
一方で、材料選びから下地処理、仕上げまでを職人に任せることにも、それだけの価値があります。
何を大切にするかは、人それぞれです。
ただ、漆喰の壁を検討する際には、価格や見た目だけでなく、素材の中身や施工の違いにも目を向けていただけたらと思います。
自然素材の良さと、職人の手仕事。そのどちらも大切にすることが、わたしたちの家づくりです。