新築

三世代、それぞれの居場所がある家

東京都大田区|母+夫婦+子ども2人

延べ床面積 42.96坪

自然素材に包まれて、ほどよくつながる二世帯住宅

お母さまが長く暮らしてきたご実家を建て替え、ご夫婦とお子さま二人、そしてお母さまの5人で暮らす二世帯住宅です。
家づくりで大切にしたのは、家族が近くにいながらも、それぞれが自分らしく過ごせること。そして、毎日安心して触れられる素材を選ぶことでした。奥様はご家族の健康のため、自然素材をベースに床には無垢材を、壁には漆喰を採用しました。木の温もりと漆喰のやわらかな質感をベースに、照明やタイル、棚、小物までひとつひとつ丁寧に選ばれた室内は、明るくすっきりとしながらも、どこかほっとする空気に包まれています。

「大きな窓」ではなく、「明るく開放的な家」を

そこで、窓をただ大きくするのではなく、光が入りやすい方角や隣家からの視線、風の通り道を考えながら、一つひとつ窓の位置と大きさを検討しました。さらに、リビングには伸びやかな吹き抜けを設け、上からも自然光が届くように。窓の大きさだけに頼らず、視線が上下へ抜けることで、実際の床面積以上の広がりを感じられる空間になっています。完成後、ご主人から言われたのは「設計時とのギャップはなかった」という言葉。なぜその窓なのか、なぜその位置なのか。設計の段階で理由を丁寧に共有していたことが、完成後の納得につながりました。家づくりでは、「何がほしいか」だけでなく、「なぜ、それがほしいのか」を一緒に考えること。その先に、本当に求めていた暮らしやすさが見えてくることがあります。

忙しい毎日に、自分に戻れる場所を

奥さまのお気に入りは、家の中心にあるキッチンです。木を生かした収納とステンレスのワークトップを組み合わせ、料理のしやすさやお手入れのしやすさを考えたオーダーキッチン。家族と会話をしながら作業できる開放的な場所です。
奥さまは毎朝5時に起き、子どもたちが目を覚ます前に、ここでひとりコーヒーを飲むそうです。仕事、家事、子育てと慌ただしく一日が過ぎていくなかで、この静かな時間が大切な「自分の時間」。時には、リビングに置いたピアノを弾くことも。吹き抜けを通して音がやわらかく家の中に広がります。
家族のためにつくる場所であると同時に、自分自身を整える場所でもある。そんなキッチンが、暮らしの真ん中にあります。

子どもたちにとって、家そのものが遊び場

ある日の取材中、リビングの丸柱にするすると登り始めたお兄ちゃん。「僕、登れるよ!」その姿を見ていた妹さんも挑戦し、この日初めて、自分の力で柱を登ることができました。大人にとっては家を支える一本の柱。でも、子どもたちの目には格好の遊び場として映ります。
無垢の木に裸足で触れ、柱に抱きつき、床いっぱいにおもちゃを広げる。壁を使って映画を観たり、ハンモックに揺られたり。自然素材に触れながら過ごす毎日の中に、小さな発見や「できた!」の瞬間が生まれています。家を思いきり使い、遊び、成長していく。そんな家族の時間も、この住まいの大切な風景です。

小さくても、心地よい自分だけの場所

家族が集まる場所だけでなく、一人で過ごせる場所も大切にしました。
ご主人の書斎は、約2畳のコンパクトな空間。窓から空や外の景色が見え、落ち着いて仕事に集中できるお気に入りの場所です。
「小さいからこそ冷暖房もよく効いて、仕事がはかどります」とご主人。子どもたちにも、リビングのそばにスタディコーナーを設けました。家族の気配を感じながら、自分のことに集中できる場所です。家族みんながいつも同じ場所にいる必要はありません。一緒に過ごす場所と、一人になれる場所。その両方があることで、家族の距離も心地よく保たれています。

近くにいる安心と、それぞれの暮らし

1階はお母さまの住まいです。キッチン、リビング、寝室などがコンパクトにまとまっていて、ご自身のペースで暮らしながら、必要なときにはすぐ家族とつながることができます。「ちょうどいい距離感で家族とつながっていられるのがありがたい。2階から孫たちが元気に走り回る音が聞こえるのも嬉しいです」というお母さま。完全に暮らしを分けてしまうのでもなく、いつも一緒にいるのでもない。お互いの生活を尊重しながら、同じ屋根の下に家族の気配がある。三世代で暮らすこの家にとって、その「ほどよい距離感」も大切な設計のひとつです。

暮らしてからも、「これでよかった」と思える家

「暮らしてみて、不満なところはありませんか?」と尋ねました。けれど返ってきたのは、設計時の説明に納得できたこと、使いやすいキッチン、自分だけの書斎、そしてお母さまの暮らしやすさなど、それぞれのお気に入りの話ばかりでした。家づくりに、ひとつの正解があるわけではありません。大切なのは、そこで誰が、どんな毎日を送りたいのかを丁寧に共有していくこと。自然素材の心地よさに包まれながら、集まる場所があり、一人になれる場所もある。世代の違う家族が、それぞれの暮らしを楽しみながら、ゆるやかにつながっている。そんな三世代の暮らしが、この家で始まっています。

施工概要
敷地面積 26.11坪
延床面積 42.96坪
構造 木造3階建て
断熱工法 ウレタン吹付け
竣工年 2024年
仕様
屋根 ガリバリウム鋼板
外壁 軽量モルタル+吹付け(ジョリコート)
サッシ 樹脂サッシ(ペア/Low-e)
無垢板(カバ桜・杉)・長尺シート・タイル
漆喰・クロス・タイル
天井 漆喰・クロス
建具 メーカー建具
階段 ツガ集成材
キッチン オーダーキッチン(ステンレス・タモ)

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