施主の育った築100年の日本家屋の記憶、そして新居への想いをカタチにしたのがこの家です。
架構は全て手刻みによるもので、手斧で風合いを施した編曲を活かした曲がり梁は、地松の丸太梁を使った手間のかかる仕事になりました。また、淡路の左官職人による漆喰で柔らかな白色の壁の美しさが印象に残る仕上げになりました。
千本格子の建具から入る柔らかな光は時間によって違った表情を与えてくれています。
ご夫妻自らの足で見つけられた古材欄間、照明器具が彩りを添えています。小ぶりなガラスの古照明器具はソケットやコードを布製に取り替えて利用しています。
延床面積36.86坪(1階20.73坪 2階16.13坪)
外張り断熱PAC住宅|古材利用|アンティーク照明|無垢の木と漆喰|ヒノキの床フリーリング|勾配天井と吹き抜け|ホウ酸シロアリ対策|地中梁基礎|サワラの板張り天井|ガルバリウム鋼板の屋根|床下エアコン|中野で家を建てる
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Mさんが骨董市で購入された欄間を2箇所に取り入れました。一つは和室の欄間に。もうひとつは組子欄間に金具を付け、古色塗装し直しました。和紙調のアクリルと組み合わせ玄関用としました。欄間の組子は菱組というもので、繊細な仕事がされているものです。
隅々まで煌々と明るい家でなく、帰宅してほっとするような照明計画としています。このガラスの照明は、ろうそくの火を灯した時のような影をつくるどこかホッとするやさしい灯です。
古材の縦格子戸を随分探しまわりましたが、低い物が多く、頭を下げてくぐるようなことになってしまうこと、建具7本すべてを古材の統一したデザインでそろえるのも難しく、新たに作ることにしました。引き手の部分を掘り込みにした現代縦格子です。
食用油と同じように口に入れても舐めても安全な塗料として開発された、エゴマ(シソ科の一年生植物)100%の天然塗料。これに天然顔料(岐阜産の黒土から採取した伝統的な無機顔料)の久米蔵をブレンドしたものが「匠の塗油・久米蔵」。
1,2階をつなげる吹抜けを設けることで縦方向の風通しをはかることができました。これにより家全体の風通しが格段とよくなります。また、2階は個室の間取りですが、吹抜けに面して障子窓を設けて風の道をつくりました。個室であっても風通しを確保しています。