間取りと設計
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中廊下をなくす その3. 家族空間は一体に

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中廊下をなくす その3 家族空間は一体に
 

キッチン、食堂、リビング、茶の間、書斎コーナーなど、家族が共通で集える・使える場所が家族空間です。
家族空間の中に階段や吹抜けを設けることが前回のテーマでしたが、今回は、家族空間をばらばらの個室として設けるのではなく、連続した一体空間に構成する提案です。

 

一体化した家族空間の中では見える、聞こえる、感じる

家族空間を一体化すると、風通しがよくなる、光や熱などの太陽の恵みがすみずみまで行きわたる、温度差が少なくなるなどの温熱環境のメリットと、家族の自然なふれあいが格段に多くなるというメリットがあります。
家族の帰宅や在宅時の様子が実際に見えるし声も聞こえる、仮に姿が見えなくても雰囲気が感じられて安心感や心の安定が増すでしょう。
何も中廊下を歩かなくても、リビングなどの家族空間を歩いても何ら差支えがないのですから、つながりのある家族空間を積極的に間取りたいものです。

 

アルコーブで落ち着く一体空間に

家族空間を一体化すれば、すぐに20畳30畳の大空間が創出されます。
そんな宴会場のような空間は落ち着かない、便利に使えないと想像していませんか。
確かに、だだっ広いだけの空間であればそうでしょうが、現実にはそんな無味乾燥な空間づくりにはなりません。
鉄骨や大断面集成材で集会所をつくるような工法ではありません。
国産無垢材で木構造の家づくりです。柱や梁をしっかりとバランス良く配置し組みますから、中に柱一本無い大空間というわけにはいきません。
要所に柱や梁が必要とされる空間です。その部分に壁が立ったり、引戸が設けられたりします。
空間の中のへこんだ部分、凹部をアルコーブといいますが、暮らしの落ち着きはこのアルコーブが非常に有効なはたらきをします。
ちょっとした目隠し部分、はじっこ的落ち着きもあります。
空間に奥行き感を与えたりもします。
書斎コーナーや食堂をアルコーブ的につくると、ほっとする空間になるでしょう。
家族空間を一体的につくるということは、空間全体の構成、アルコーブ的空間、建具や家具の配置などの総合的組合せなのです。

 

引戸で空間の可変化

アルコーブと同様、あるいはそれ以上に空間を演出できるのは、引戸です。
引戸のよさは、可変性と自然さです。
閉じられていても、開いていても、あるいは部分的に開いていても、不自然ではありません。
引戸は大空間の開閉も自在です。
そうした引戸の特質を上手に使えば、家族空間を必要に応じて自由に閉じたり開いたりできます。
また引戸の大きさやデザイン、色彩なども様々に工夫可能ですから、演出効果は抜群です。
現在はドア全盛ですが引戸の特質を考えると日本人の住まいは、やはり引戸を中心に考えた方がいいのではないでしょうか。

 

2階の家族空間

1階部分で中廊下をつくらない間取りの考え方はご理解いただけたと思いますが、寝室など個人的色彩の強い2階部分では、中廊下をなくすことは難しいと感じていらっしゃいませんか。
階段を上がった部分を、廊下としないである程度のスペースをもった共用空間とする、と考えると中廊下はなくなります。
共用のスペースから子ども部屋や寝室につなげればいいのですから。
共用スペースの一部に吹抜けを設けることもできますし、パソコンコーナーなど書斎的要素を織り込むことも可能です。
この共用スペースを2階の家族空間ととらえ、その家族なりの様々な工夫をしていけば、ふれあいの多い楽しい空間づくりが実現できます。

 

逆転プランも

土地の狭い都市型住宅では、日照の関係から逆転プランも多くなりました。
逆転プランでも中廊下をなくしていく発想は同じです。
逆転プランのよさの1つは、2階の空間の天井を高くしたり、屋根勾配なりに変化をつけたりすることが容易ということです。
1階の天井の変化は吹抜けを絡めてある程度できますが、2階ほど自由自在にはいきません。
逆転プランはこの特質をよく考えて設計したいものです。

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