間取りと設計
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日本の間取りを悪くした中廊下 その1. 気候風土から考える

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日本の間取りを悪くした中廊下 その1 気候風土から考える
 

今回から少し具体的に、間取りの考察をしていきます。
戦後日本の間取りは大きく変わりました。中廊下を動線とした個室プラン・何LDKに、日本中が右向け右で一斉に変化したのです。
欧米に戦争で負けた劣等感、食寝分離、プライバシーの確保などその理由付けは色々ですが、あらためて日本にふさわしい間取りを考えてみましょう。

 

中廊下ほど日本の気候風土にそぐわないものはない

まず気候風土から、LDK間取りを考えてみましょう。
LDK間取りを特徴づけるのは、何と言っても中廊下でしょう。
玄関を入るとホール、ホールから伸びる中廊下、ドアを隔てて個室、とパターン化されています。中廊下が動線として、各部屋をつなぎます。このLDK間取りの要である中廊下が、日本の住宅を決定的に悪い方へと変化させてしまいました。
家づくりにおいて、日本人の無意識的レベルまで染み込んでいることが三つあると前に述べました。
それは、木の家、日当り、風通しです。
いずれもほとんどの方が当然のごとく求めるものですが、何故か、実現されることが少なくなってきました。
それでも木の家は、まだ半数程度は実現されていますが、家全体に太陽の恵みがある、風通しがいい、となるともはやほとんどが実現されていないと言っても過言ではないようです。
その原因は、土地が狭い、隣家が迫っている、小さな家しか建てられない、個室が欲しいなど様々に考えられますが、実は、単純な所に帰結されます。
それは、中廊下をつくる事を当然としている間取りにほとんどの原因があります。

 

中廊下は家を分断している

中廊下が家の真中を走る、それはまさしく家を分断する幅広の線です。
その線の両側には壁が立ち、ドアを介して個室が並びます。個室の壁も分断線です。そして、ドアはほとんどの場合、閉じられています。
建物は、まず中廊下で大きく分断され、各個室の壁でさらに細かく分断されている、これがLDKプランです。

 

中廊下と風通し

風が通り抜ける、抜けるためには入り口と出口が必要です。
この入り口と出口を中廊下が、大きく遮断します。
南側に掃出しなどの大きな開口があっても、対抗する北面が中廊下で塞がれていては、スムーズな風通しは期待できないでしょう。
日本では冬を除いて、窓を開けて生活できる程、自然に恵まれています。
自然の風通しをあきらめて、クーラーや機械換気に頼るという最近の風潮は大きな過ちです。
中廊下をなくした間取りの工夫ができれば、自然の風通しを取り戻せる可能性が増大します。

 

中廊下と太陽の恵み

中廊下は当然、太陽光も遮断します。
冬であれば、日差しの入る部屋は明るくそして暖かい、しかし、中廊下とその向う側の部屋は暗く寒い、さらには湿気の害も招いてしまいます。
昼間から電灯が必要な中廊下やそれに接した北側の部屋、想像しただけでも陰気臭いイメージですが、残念ながら多くの現実です。
中廊下は結果として、建物の中に冷たい所をつくり出してしまいます。
建物の冷たい所は、湿気の害や隙間風そして脳卒中等の発作さらには結露や腐れの被害にも悩まされる危険性が高いのです。
しかも住むには不快ですから、いつしか使われない死に部屋になりがちです。
建物の中に冷たい所をつくらないためにも中廊下をなくす間取りは求められます。

 

中廊下で分断されるLDKプランでは木の家も映えない

まだ半数程度が木の家と述べましたが、それは単に在来軸組工法の家と言うだけのことであり、昔ながらに柱や梁がダイナミックにあらわれている、木質感が豊かな家となれば、とたんに少なくなってしまいます。
ほとんどがクロスで被われた大壁の家が実情です。そうであれば、中身が木であろうが鉄であろうがパネルであろうが、見かけは大差ないわけですから、木の家が減少していくのはうなずけます。
住まい心地ばかりでなく、木の家は美しくもありました。
木の家の美しさを支えたのは、大きな空間です。大空間に大きな柱や梁が露出しているからこそ、ダイナミックで美しいと思えるのであって、最近の小さな個室に、そんなものが出ていたのでは重苦しくてたまらないでしょう。
木の家の美しさを求める上でも、中廊下は邪魔なものになります。
次回は、中廊下が家族のふれあいも分断してしまったという観点から考えていきます。

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