間取りと設計
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窓は横型から縦型へ

間取りを考える1

窓は横型から縦型へ
 

前回は内部建具について考えましたが、今回は外回りの窓について。日本の伝統的開口部のイメージはと問われれば、多くの方は、庇が長く伸びた大きな広縁に引戸が何枚も重なり、しかも、その引戸がすべて開口するという雄大な開放感を連想されるのではないでしょうか。
しかし、時代とともに開口部も開放型から閉鎖型へ大きく変化しました。そうした現況の中で、風通しや日照という自然の恵みを受け入れられる窓のありかたを考えてみましょう。

 

風通しは窓の大きさではなく配置のバランス

窓に期待される大きな要素に風通しがあります。大きな開口部は大いに風通しがよさそうですが、それは間取りと関係します。昔の田の字間取りのように室内空間がつながり、南北に大きな開口があれば素晴らしい風通しが得られますが、現在のLDKプランのように個室型では風は思うように流れません。風通しには入り口と出口が必要なのですから、いくら大きな開口部でも反対側に抜け道がとりにくい個室では、昔のような風通しは期待できないのです。
これまで何度も提案してきましたように、中廊下をなくした広がり空間の間取りが風通しのいい家には前提となります。
その上で窓そのもののありかたを、現代に合せて考えていきましょう。
現代では、様々な要因で窓を大きく開け放して生活することは困難になりました。昔のように東西南北に大きな開口部をとることは、不可能と言ってさえいい状況です。
そう言ってしまうと、自然の風通しはあきらめて機械に頼らなければならないのかと早合点されそうですが、そうではありません。風通しは、窓単独の大きさではなく配置されるバランスなのです。
風の通り道を上手に確保できる位置に設ける、それを可能とする間取りさえできれば、必ずしも大きな窓は必要とされません。

 

横型の窓から縦型の窓へ

ここでの提案のメインポイントは、従来、横型であった窓のイメージから脱して現代に応じた縦型の窓にしたらどうか、という点にあります。
昔の広縁にイメージされるような幅広で大きな開口部は必ずしも必要とはされない、そして同じ面積の開口を設けるのであれば、横型ではなく縦型にという提案です。
その提案の前提として、中廊下をなくした広がりの空間の間取りであること、自然のエネルギーを活用できるパッシブソーラーにすることなどを確認して次にすすみます。

 

地震との関係

窓と壁は、奪い合いの関係にあります。窓を設ければ壁はなくなり、壁を優先すれば窓はなくなります。
壁の重要な役割として耐震性能を確保する役割があります。窓と同じく、バランスよく配置される必要があります。
昔の広縁に見られるような広い開口部を設けると壁がとれなくなってしまいます。昔の木構造と同様な建築にすれば問題は少ないのでしょうが、現代の住宅ではそうはいきません。
同じ面積であれば横長の窓より縦長の窓の方が壁を残せますから、現代の住宅では縦長の窓をバランスよく配置して耐震壁をバランスよくとった方が理に適っています。

 

防犯との関係

施錠の面でも、引戸が何枚も重なる開口部よりも縦型の窓の方がしっかりと確実にできます。
また、人間の頭が入らない幅が15センチ程度の窓にすれば防犯は万全になります。雨の入らない工夫を同時にしておけば、長期外出や就寝時にも安心して開放しておけます。

 

温熱環境との関係

PAC住宅のようなパッシブソーラーハウスでは壁そのものを集熱コレクターとして、そして、内壁空洞に熱分配などの機能をもたせていますから、開口部を縦長として上下につながる壁をバランスよく確保した方がパッシブソーラーとしての効率がアップします。

 

明るさとの関係、天窓の活用

昔の大きな開口のある家は、昼間は明るかったと錯覚しがちですが実はそうではありませんでした。開口部も大きかったのですが建物も大きく中廊下もあり、建物の中心まで光が届かず結構暗かったのです。
建物の北側や中心まで自然の光で明るくするためには、吹抜けの位置そして天窓を設けるなどトータルな配置計画が必要となります。
自然の明るさも窓の大きさばかりではなく、窓の配置のバランスだということがご理解いただけると思います。

 

夏の室内のパッシブ換気

人が入れない位の小さな窓を雨が吹き込まない工夫をしてバランスよく配置して下さい。
窓を開け放して就寝できる、外出もできる、夏には最適な環境が小さな窓だからこそ可能となります。

 

窓とインテリア

物が多すぎる現代生活です。昔の人のように物は最小限度に、もう一度考え直すことが迫られています。
そのことを前提としながらも、物を置く場所を考えますと壁に沿って置くことが一番多いのではないでしょうか。
きれいな空間づくり、収納にも壁が必要となります。絵を掛けるにも壁の存在が必須です。
こうして考えてみると現代の家づくりには、縦長の窓が基本と感じられるのではないでしょうか。

 

外観の美しさ、そして、外から空間の用途を特定させない 

あそこは台所、ここはトイレなどと、外から見ただけで分ってしまう家がよくあります。縦長窓を意識して設計すれば、外から間取りがわかりにくくすっきりとしたデザインで水回りも美しい外観が可能となります。

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