間取りと設計
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LDKプランにドアは最悪

間取りを考える1

LDKプランにドアは最悪
 

間取りはLDK、そして建具はまだまだドアが全盛です。中廊下を動線とした個室中心のLDK間取りは、風通しを悪くし日照も建物の隅々までは行き届かず、なおかつ、家族のさりげないふれあいも少なくしてしまったことをこれまでに何度も述べてきましたが、建具がドア中心であるということもこれらのマイナス要素を増大させています。今回はドアと引戸を考えていきます。

 

ドアと引戸の根本的な差

ドアと引戸の基本的差を一言で表すと、「閉じている」と「開いている」になるのではないでしょうか。
どちらも空間を仕切り、必要に応じて開閉し空間をつなげたり分断したりするための道具なのですが、目的とする方向性が違うようです。
空間を常時分断しておき通過するときのみ開けることが原則のドア。
一方引戸は、常時はつながっている空間を一時的に分断するときに使われることが多いようです。
日常的な生活からそれぞれの特性を少し眺めてみましょう。
ドアも常時開け放しておくことがあります。そのためにはドアストッパーで固定することが普通です。そうでないと風でバタバタしたり、突然バターンと閉まったりして危険です。
しかし開け放されたドアは場所をとり邪魔にもなりますし、閉める時いちいちドアストッパーをはずすという手間も必要となります。
引戸はその点融通無碍です。開けることも閉じることも簡単ですし、ドアのように完全に開くか完全に閉じるのではなく、どんな位置にも自由にとめておけます。ちょっと開ける、少しだけ閉じるなど自在です。

 

つながりを確保しやすい引戸

このシリーズでは、日本の気候風土や生活習慣を前提とした間取りのあり方を追求しています。
その観点から、前回までに述べてきましたように中廊下をなくして風通しや太陽の恵みを空間の隅々までとどけ、なおかつ、家族の自然なふれあいを確保するような間取りがいいのではないかとすすめています。
LDK間取りではなく、空間のつながった広がり空間の間取りをベースとして設計します。空間は常時つながり、広がっています。そして時に、必要に応じて区分したり閉じたりします。
そうなると自ずとドアではなく引戸の採用が当然ということになります。
引戸であれば、二枚引き三枚引き場合によっては四枚引きと広々開けることができますし、すべての引戸を引き込むことも可能です。
また簡単にはずしてしまうこともできます。これらはドアではとてもできない芸当です。
さらには、狭い空間での開け閉めも引戸の方がすぐれた性能を発揮します。狭い空間であればある程、ドアを開く余地も狭まれるわけですから、引戸の優位性は歴然です。
納戸などの出入り口を広幅の引戸で構成すれば、荷物の出し入れも楽なうえに、ドアのように開けたときのスペースもいりませんし邪魔にもなりません。

 

動く壁としても利用できる引戸

引戸を積極的に、可動型の壁と考え利用していくと間取りをつくるうえでの様々なアイデアにつながっていきます。
家族空間ばかりでなく、子ども部屋を区分する動く壁としてもよく使われています。
また最近では、夫婦がそれぞれのスペースをもつことも多くなっています。
その際の簡単な目隠し的な壁としても引戸は有効です。

 

そして引戸は省スペース

すでに断片的にふれていますが、引戸のもつ省スペース性は狭くなりがちな日本の家づくりにはとても貴重なものだと思います。
ただし、いくら省スペースといっても引戸を設ける場合は引き込める場所が必要となります。ドアはつけられても引戸は無理な場所もありますので、最初から引戸を前提とした設計が必要となります。よく見受けられますが、畳の部屋に襖風の開き戸は避けたいものです。

 

デザインの大きなポイント

そして、引戸は実用的に優れているばかりではなく室内の顔づくりに大いに関係してきます。
引戸の大きさ、素材、形状、色などで、がらりと違った雰囲気がつくれます。
また実際には、開けた時と閉じた時ではそれだけで空間イメージは大きく異なります。ドアでも同じことが言えるのでしょうが、引戸の方がはるかに開閉の印象の差、建具のデザインの差が大きく影響しているようです。
引戸は、それだけに面白い素材と言えます。

 

PAC住宅の広がり空間では、ドアも生きてくる

ここまで読んでくると、ドアは悪者のように思えてしまいますが、実はそうではありません。これまで引き戸を強調してきたのは余りにもLDKプランにドアという教条主義的間取りに対するアンチテーゼです。
ドアも使い方によっては、その素晴らしさを発揮します。壁のデザインを生かしたい場合は、ドアの方が有効です。例えば、壁の前に引戸が引き込まれてしまうと、その壁に絵をかけることはできなくなってしまいます。大きな壁を洋的に見せたい場合もドアの方がスッキリとしそうです。
また、引き込むスペースのない場合も、ドアであれば使えます。
また、ドアロックもマグネット式を使えば、開閉は引戸なみの気楽さになります。
引戸対ドアの対決といった図式ではなく、これらは単なるパーツにしかすぎないのですから、あくまでも上位概念である空間構成とのバランスから建具のありようは決まってくるものです。
ドアも上手に使ってみたいものです。  

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