間取りと設計
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中廊下をなくす その4. 子どもスペースは可変自在に

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中廊下をなくす その4 子どもスペースは可変自在に
 


子どもが成長していく様々な過程、大人になって巣立った後、人生の相棒を見つけて戻ってくる可能性など、子どもスペースほど変化にとんだ使われ方が考えられる空間はないかもしれません。
二世代三世代と住み継げる間取りの原点は、こうした変化に適応可能な子どもスペースに原型としてのヒントがあります。

 

子ども部屋が子ども部屋として使われる年数は意外と短い

食卓の片隅で絵を描いたり勉強したりしていた子どもも思春期にさしかかると1人の空間を求め始めます。また、その時期は受験とも重なります。
その時期に合わせて子どもに個室をと、家づくりがスタートする例も少なくありません。
その一方で忘れがちなのが、子どもの成長スピードです。10歳を過ぎた頃から思春期は始まり、受験も中学、高校・大学と思春期の終わりの18歳位まで続きます。
入学してほっとしたのもつかの間、多くの子どもは18から22、23歳には学校や就職の関係で家を離れていきます。
ごく普通には10年程度しか子ども部屋は使われていないということです。

 

子ども部屋は思い出のアルバム?

主がいなくなった子ども部屋の多くは子どもがいた時のまま大切に保存されている、まるで思い出のアルバムのようです。
子どもが夏休みや正月休みに帰った時のため、という親心なのでしょう。
しかし思い出のアルバムとしてはスペースが大きすぎもったいないとは思いませんか?
また、親の役割は子どもの成長の手助けです。独立した子どもたちにとって、後方支援的要素が多く残されていることは自立後の成長にマイナス面も多いのではと思えます。
いつでも帰れる家やスペースがあるという安心感は、社会人としての独立心を阻害し、ここ一番という頑張り時に逃げ道を与えてしまうかも知れません。
いつでも帰れる家があることは素晴らしいことなのでしょうが、それにしても社会人として育ち飛び立った大人としての子どもに、いつでも戻れる子ども部屋は無用の長物ではないでしょうか?

 

子どもスペースを個室とする必然性は少ない

思春期の子どもが無事成長するために1人になれるスペースは必要なものですが、イコール個室というわけではありません。
家族の目からちょっと離れられる、穴ぐら的イメージの方が近いのではないでしょうか。
個室ではなく、個になれる空間が時に必要ということでしょう。
一連のテーマである、家族とのつながりがあり個にもなれる空間づくり、がここでもポイントになります。

 

子どもが巣立った後の利用法を想定する

思春期の隠れ家や勉強スペースとしての要素を満たしながら、同時に巣立ったあとの有効利用もできる空間づくりを考えたいものです。

 

空間の可変化こそ子ども部屋に

将来的に子ども夫婦と同居の可能性や希望があるならば、台所やバスなどの給排水配管、電気配線など下準備だけをしておくことも可能です。
そうすれば最小限度のリフォームで二世帯化されます。
当然、間取りもそれを前提とした考え方でなされなければなりませんが、個室化しない可変空間であれば、様々な可能性が追求できます。

 

循環型間取りへの原点

建築当初はオープンな子どもスペース、思春期には個になれるスペース、子どもが巣立ったあとは両親の趣味のスペースとして広々と使われる。
結婚した子どもと最小限度のリフォームで二世帯同居が可能になるなど、生活や時間の流れに応じていける、いわば循環型の間取りがこれからの時代は最も求められるものだと思われます。
そのためのポイントは、やはり中廊下をなくした可変自在の広がり空間の間取りにあります。

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