思い
「床下の毒ガス」というショッキングなタイトルは、「農薬と環境破壊56話」という加藤龍夫先生の著書の一説です。 空気質という視点から住環境を考えることは今まで全く例がなくデータも何もないのが実態でした。そこで当時横浜国立大学環境科学研究センターで教授をされていた加藤先生に相談し、PAC住宅の室内空気の分析を依頼しました。 考えてみれば今のように自然素材・エコロジー建材といったものが入手できる時代ではなく、PAC住宅もごく一般的に手に入る建材を使用していました。ただPAC住宅はPACスーパー越屋根換気口とPAC床下換気口を夏は開放します。夏の期間は床下から壁の中、小屋空間を通って外へと外気が流れますので、この時、建材に含まれている化学物質もPAC住宅なら抜けるのではないかと、直感的でしたが思っていました。 そこで新築当初の住宅とひと夏経過したPAC住宅の室内空気の分析をしていただくことになりましたが、その前にどういう物質がどの建材に含まれているかを知る必要がありました。 結果は思ったとおりで新築当初は20数品目の化学物質が検出されましたが、ひと夏経過したPAC住宅は一品目を除いてすべて安全なレベルまで抜けていました。 その一品目というのが床下の毒ガス、白蟻駆除剤だったのです。発がん性、奇形児が生まれる可能性、いわゆる催奇性、身体の脂肪の中に入り込む脂溶性、難分解性、残留性と、恐ろしい農薬が使われていました。 健康住宅がこのままでは健康住宅でなくなってしまうと、会員会社を通じて、白蟻駆除は一切やめようとの姿勢を打ち出しました。当時は、薬剤による防蟻処理は住宅金融公庫の義務付けの時代、建主の方のご理解でやらない姿勢をずっとしてきました。 今ではもちろん薬剤による防蟻処理は義務付けではなくなりましたが、それまでに住宅金融公庫をはじめ、研究機関や大学教授のところを訪れて薬剤による防蟻処理の義務付けをはずして欲しいとの要望をしつこくしていました。 建主の方の理解があってこそできたことですが、これまでにも実績をつくってしまって後から行政に認知してもらうということをいくつか経験してきました。正直、これからもずっとそういう存在であるのかも知れないと思っています。 住宅の空気質を本格的に分析したのもPAC住宅が第一号のようです。 |
1977年から技術開発を中心にグループ本部として会員工務店を通じた家づくりをしてきましたが、この年、PACグループを解散しました。 思いは一つ、「顔の見える関係」の家づくりをしたいということでした。 家づくりをもっとこうしたいああしたいという思い、また住宅のプロセスと同時に完成までを見届けたい、入居後の様子も把握したい、家づくりを通じもっと人間関係を広げ深めたいと、大きな事業転換をはかりました。 納得する家をつくるには、建主の方の顔と同時に、一人ひとりの職人さん、一つ一つの木材はじめ使われる素材の氏素性、素材をつくっている人たちの顔と、欲望は膨らみました。 人・物・金と言われますが、まさにその通りでまずグループ解散後に社内の人材、そして職人さん、使う建材や素材を作っているオーナーと、技術ばかりでなく、家づくりにかける同じ志向の情熱をもった信頼できる人間関係づくりに最も力を注いできました。 もともと田中慶明・若林礼子(故人)の趣味が食、それに絡む陶芸・ガラス・漆器の器からはじまって手づくりの一品物のインテリアにありましたので、アーティストの友人知人はたくさんいました。 まず人間にほれる田中慶明・若林礼子(故人)ですから、密度の濃いお付き合いをしている作家のみなさんは生き方なり考え方をともに共鳴できる仲間です。 建主さんと直接設計の打ち合わせをし、図面を作成、一つ一つの仕様を決めて、地鎮祭・上棟式と完成まで、職人さんの手配から材料の手配と施工管理していく、この当たり前の工程が、自分の家をつくるような楽しさとよろこびがありました。 大工さん、左官屋さんをはじめたくさんの職人さん、そして構造材・板材・畳と、みんな生産者と信頼関係のもとにつくられる家が実現できました。 より豊かな感性を住空間へとの思いがこれまでの友人知人のアーティストの登場でした。一品物のアート、照明や洗面ボールに始まって、家具もアイアンも、しかもデザイン・つくりかたともにとことんこだわった顔の見えるアーティストの手によって一品の家・自由な家へとさらにステップアップを遂げます。 |
「一品住宅」をつくるためには、自由なこころが求められます。 家づくりの周囲には、ものすごくたくさんの情報が散乱しています。自由なこころを持っていなければ、ただ情報に振り回されるだけです。自分で判断していると思わされているだけの情けない状態です。住宅展示場もカタログも書籍も、自由な精神で見なければ、ただ、情報提供者に思い込まされただけになります。 自由なこころを持つためには、自分を知る、そのためには自分自身を常に見つめることが必要です。 自由な家づくりの実現には、建物の建て方、間取り、一つ一つの素材、インテリアすべてが関わっていますし、そこにかかわった人たちの思い・情熱の要素がとても大きいと思っています。 顔の見える関係の家づくり、志向を同じくする、深い信頼関係の情熱的な職人・アーティストの存在があって始めて実現できるのだと思います。 こころにとらわれのない、昨日に引きずられることもなく、明日を今日の延長にすることもない、日々新鮮なこころと頭でいられる、そうした人たちと出会えて、自由に生きるということを伴に真剣に見つめながら「一品住宅」「自由な家づくり」ができたならとても幸せです。 |
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エアサイクル住宅・PAC住宅を追求して32年、一層の飛躍を意図してPAC住宅のノウハウ、建築事業は全てエアサイクルハウジング(株)に事業継承されました。
エアサイクルハウジング株式会社の代表である浦 弘之は40年間、木材・建材に深く関わってきました。
一品の家づくりは「つくる」ことへの思い入れから既製品の使用は限られていましたが、浦代表の培ってきた幅広い人脈と知識により、顔の見える良質な住宅資材を広く導入することが可能となりました。
これにより、「つくる」ことと「既製品」のハイブリッドが広く可能となり、リーズナブルな価格でより良質な住宅の提供をすることができるようになりました。
2011年10月 市川 小奈枝 が社長となり大幅に若返りをはかりました。
















