尾山台の家では最初、地下室をつくる計画はなかった。しかし設計中、数人の方にPAC住宅で地下室はどうなんでしょう?と真剣な思いを伝えられ、思い切ってつくろうとなった。
どうせつくるなら二タイプにしようと、地下室Aはコンクリートの内側に断熱ボードを張り、土間コンクリートに「かくれん房」の配管をして床暖房とした。地下室Bは無断熱とし「かくれん房」の配管もしなかった。ちなみに地下室Bには井戸もある。ただし空間的には地下室Aと地下室Bはつながっているので引戸で仕切ることとした。
ねらいは地下室Aは居室とした時の可能性を探り、地下室Bはワインセラー的に少しヒンヤリした空間をともくろんだ。
構造的にはPAC住宅の躯体内空間とは独立した形で性能もPACの機能そのものとは直接関係していない。また、地下室AとBそれぞれに換気扇を1つずつ設置した。
地下室Aは四畳半が2つのスペース、地下室Bは二畳大である。
仕様は断熱のあるなし意外は同じで壁は漆喰仕上げとし、ついでに井戸の回りも漆喰と奮発した。床と天井そして地下室Aの壁の一部はさわらの無垢板とした。ただし床面は土間コンクリートの上に6p角の桧材を打ちその上に下地材なしでさわらの床板をダイレクトに張るという安普請である。
地下室Aの土間コンクリートには「かくれん房」で使用している架橋ポリエチレンパイプを埋設し冬は温水を流した。かくれん房とは違って土間との距離が極めて近いこと、そして、その間の空気が流れてはいないことで使用感は床暖房的である。かくれん房と同じボイラーから温水をとっているため流れる温度はかくれん房と同一になり、1階以上のかくれん房が効く空間と比べると2℃から3℃程度高く、暖かさをダイレクトに感じる空間となった。また、床下地材なしでさわら板をダイレクト張りしたため、暖まった土間コンクリートの影響を直接受け、床板のきしみや隙は予想通りさけられない結果となった。ちなみに1階以上の空間では土間から床面までの距離があること、空気が流れていること、そして下地が二重以上になっていることなどで床板は保護されきしみも隙もほとんどない良好な状態である。
2003
年6月24日、尾山台の家に引越してきたが、いまだ漆喰の仕上げを一部塗っている状況であった。また、淡路島から腕のいい漆喰軍団に二度にわけて2週間程きてもらったが、梅雨どきのため塗っている最中はほとんど雨という状態であった。当然、乾きは悪く、特に地下はPAC機能の特長である壁の裏での通気もなく心配させられた。入居後1ヶ月以上2台の除湿機を回しっぱなしにしてようやく落ち着いた。その直後から地下室のデータを取り始めた。
データをこまかく見ていく前に、体感に基づいた感想を述べてみる。
現在は2004年3月末であるが、昨年の8月以降今に至るまで湿気の問題に悩まされたことは全くない。冬などはむしろ乾燥ぎみと言える。
断熱していない地下室Bをワインセラーにと思っていたが、地下室Aとほとんど温熱環境は変らずワインセラーを別に購入するはめとなった。冬も地下室Aと変らずとても暖かい空間となった。喜ぶべきか悲しむべきか・・
また地下室Bにある井戸から相当湿気が上がってくるのではと桧の分厚い蓋を用意したが、実際は蓋を開けても湿度は2〜3%程度しか上がることはなかった。
いずれにしても、今回の体験からわかることは地下室を快適な居住空間にすることは十分可能であるということである。
あとはデータにそって見ていこう。 |