外張り断熱で躯体内空間の空気の流れを確保

断熱の原則その3 熱橋ができない手法で


熱橋・ヒートブリッジとは熱を伝える橋。断熱材の内と外を貫いて、熱を伝達する部位のことです。 断熱施工において、この熱橋・ヒートブリッジは非常に深刻な問題です。 断熱施工にともなう「隙間」も最大の熱橋・ヒートブリッジなのです。 今回は隙間とは異なる熱橋・ヒートブリッジを考えてみます。


充填断熱では、柱などの木材そのものが熱橋になる

充填断熱の最大の問題点は隙間のない施工ができないことだと、前項にて指摘しましたが、 ありえないことですが仮に、隙間がなく施工できたとしても、実は、木材そのものが熱橋になってしまうという根本的問題が残ってしまいます。

柱や筋交い、梁などの間に入れる方式が充填断熱ですが、この方法では柱や梁などの部位は断熱されない部位として残ります。
木は断熱性があるから大丈夫と大多数の方は思っているかもしれません。 しかし、断熱性があると言っても、断熱材そのものと比べれば、格段に断熱力は落ちます。
グラスウール100㎜厚を壁の中に入れるのが普通として、この性能を木で実現しようとすれば300㎜程度の厚さが必要になります。 木は、グラスウールの約3分の1位の断熱性能です。
この断熱材でカバーされない柱や梁などの面積はかなりになりますから、厳密にとらえるとかなり問題になります。
北海道では充填断熱をする場合でも、外断熱・外張り断熱を併用することが常識になりつつあります。
柱や梁などの木部まわりで隙間ができやすいと言う危険性ばかりでなく、その部分が熱橋になってしまうという超えられない欠点が充填断熱にはあるからでしょう。

しかし、まだグラスウールの3分の1程度の断熱力はありますし、無垢の木であれば湿気の吸放湿機能がありますから、 柱や梁などの断熱されない木部そのものが、すぐさま隙間と同様に危険であるということにはなりませんが。

話は少し変わりますが、最近は断熱材を充填した壁パネルや屋根パネルで家を建てる高気密高断熱を謳い文句にした工法が数多く出ていますが、これらも同じ矛盾を含んでいます。
パネルは合板と木部で構成されていますが、断熱材は木部の間に充填されます。 つまり、木部そのものは熱橋として残るということです。
しかも、パネル化の場合はウレタンなどが断熱材として使用されることが多いようですが、 木材はウレタンの約6分の1の断熱性能です。 6分の1断熱性能の落差は相当のものとなります。
もっと危険なのが、パネルと木材の取り合い部分、パネル同士の突き合わせ部分です。 そこは隙間ができやすいのです。隙間という熱橋・ヒートブリッジは極めて結露が生じやすい危険個所になります。
仮に万が一、突き合わせ部分に隙間ができなかったとしても、その部分は断熱のない熱橋部分となるわけです。
充填断熱においては、壁の中など見えない所に結露してしまう危険個所ができてしまう恐れは、パネル化してもなくなるわけではありません。


建築金物が熱橋になってしまう

しかし熱橋・ヒートブリッジとして、柱や梁などの木部よりも、はるかに恐ろしいのが建築金物です。

基礎と土台、土台と柱、柱と梁などを接合する金物は、充填断熱では断熱材で、完全にくるむことはできません。 断熱が半端、断熱されずにむき出し状態になってしまいます。
金属は熱を伝えやすいですから、冬は冷えやすいということになります。 この金属が断熱されずに、外気によって冷やされます。その時、金物周囲に湿気があれば、金物まわりで結露を生じる危険性がかなり高くなります。
もし金物まわりで頻繁に結露が生じるようであれば、やがて周囲の木材を腐らせてしまう結果となります。 この危険性は、断熱でカバーできない金物まわり、例えば、アンカーボルト、ホールダウン金物、筋交いの金物、屋根たる木をとめる金物、他にも多種多様、しかも数量も多いのです。
金物は補強目的で使用されているものです。いわゆる弱点部分に使われると言ってもいいのですが、 施工当初は、その弱点補強の目的にかなっているのでしょうが、もし、それらの金物まわりで結露が頻繁に生じば、補強どころか、 木部の腐れを促進し弱点を一層弱くしてしまうという皮肉な結果になってしまいます。
充填断熱では、建築金物を断熱ですっぽりとくるむという事は容易ではありません、できないと言い切ってもいいでしょう。 これは吹き込み断熱でも同じことが言えます。


外張り断熱は建築金物を熱橋とさせない

建築金物を熱橋ヒートブリッジとしないためには、金物が全て断熱材の内側に入り外気の影響を受けないような方法が求められます。

その理想的な方法が、外張り断熱なのです。 柱や土台、梁を外側からすっぽりとくるんでしまう方法ですから、建築金物は外気の影響を受けにくくなります。 しかも、外張り断熱は、隙間のない施工が容易に可能となります。
もちろん、丁寧な施工が要求されることは当然ですが、いくら頑張っても不可能なウール系断熱材などの充填断熱と、その気で施工すれば、 隙間のない施工が可能な外張り断熱では、どちらを選ぶかと考えあぐねる必要性は全くないのではないのでしょうか。


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