外張り断熱で躯体内空間の空気の流れを確保

断熱の原則その2 隙間ができない手法で


断熱の目的、それは 住宅内部と外部を熱的に遮断することです。 そのためには、断熱材を「隙間なく施工する」ことが当然のことです。


じつは、この「隙間なく」という当り前のことが、外張り断熱と吹き込み断熱は、丁寧に施工すればできますが、充填断熱では、どんなに大工さんが頑張ってもなかなかできることではないのです。 不可能に近いと言えます。 充填断熱は、「隙間なく施工する」というスタートの段階からつまずいてしまっているのです。

住宅の工法も様々ですが、どんな工法においても、充填断熱では隙間のない施工は極めて困難なことです。 ここでは、日本の木の家、在来軸組工法で検証してみます。

充填断熱では、グラスウール等の断熱材を部屋のまわりに施工します。 すなわち、天井の上、壁の中、床の下とぐるりと部屋を包むと思っていただけば間違いはありません。

壁の中を考えてみましょう。
柱と柱の間に、断熱材を入れるわけですが、実は、柱と柱の間は単純な空間ではありません。 まず、間柱があります。筋交いがあります。 梁や桁そして窓枠材があります。さらに建築金物や配管・配線、パイプ等と結構にぎやかです。

充填断熱は、壁の中に断熱材を入れる方法ですから、柱や間柱、筋交い、梁、桁、窓枠などの枠材などの間に、グラスウールなどの断熱材を入れるという作業になります。 それらの全ての材料とグラスウールなどの断熱材の接点に隙間がないように施工しなければいけないわけです。 これは実に丁寧で根気のいる作業が要求されます。
しかし仮に丁寧で根気のいい作業をしたとしても、実は、充填断熱に使用する断熱材はグラスウールなど綿状のものを袋で包んでいるタイプですから、そんなに精度のいい施工はしたくてもできないのです。 結果として隙間の多い施工になってしまいます。 電気など後からの工事でグラスウールがずれて隙間が空いてしまうなどは日常茶飯事のことです。 隙間なく施工するという、断熱施工の大原則すらままならないありさまです。


断熱材の隙間は湿気を招く

隙間から逃げる熱なんかしれているよ。 と考える方もいると思いますが、大きな問題は隙間から逃げる熱量ではありません。

湿気の問題です。雨、雪、外気の水蒸気、結露水、木材等の水分、生活の水蒸気と住宅の建築途中から完成して生活がスタートしても、建物に影響する水分は切りがありません。 その水分、水蒸気の害が、「断熱材の隙間」で大きな問題を発生させます。

例えば、建築中の雨や空気中の水蒸気。 ウール状の断熱材では雨がその切り口から浸入する危険性が常にあります。 たとえ雨に直接濡れないように施工できたとしても、季節によっては、空気中に含まれる大量の水蒸気が、乾燥したウールの中に浸入してきます。

断熱材のウールの中に雨や水蒸気が入り込めば、熱伝導率が高まり、断熱材の隙間どころか、湿った断熱材全体から熱が逃げ断熱材の役割を果たせなくなります。 それどころか、内部結露となり周囲の木部を腐らせます。カビを生じさせ、ダニを発生させます。 建物の寿命を縮めるとともに住む人の健康を阻害してしまいます。

今は、壁の中の施工を検討してみましたが、床の下、天井の上も同じ状況です。 床の下は、根太(ねだ)と呼ばれる床下地木部の間に入れますし、天井の上も、つり束や電気配線など、断熱の隙間ができる要因だらけです。

建築金物の部分はどうしても隙間ができる

特に建築金物との取り合いの部分は、きちっとした施工ができず、金物が外気温の影響を受けやすくなってしまいます。 ましてや金属ですから、冷えやすく結露もしやすいのです。 建築金物は住宅の強度補強のために使うものです。 そこに結露が生じ、最悪は木材を腐らせてします危険性が低くはありません。 目的とは全く逆の結果をもたらしてしまいます。

充填断熱では柱や梁などの木材は熱橋、それは熱的には隙間と言える

「熱橋」(ヒートブリッジ)が充填断熱では防げません。 隙間なく施工できたとしても、実は「熱橋」(ヒートブリッジ)という問題が残ります。 次に、この「熱橋」(ヒートブリッジ)の問題を考えます。


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