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冬を暮らす 健康住宅 外断熱・外張り断熱のパッシブソーラー  自然換気・パッシブ換気 自然素材のエコハウス 無垢の木と漆喰

快適さは温度と湿度のバランス

冬を暖かく快適に暮らすことは、長年に亘っての日本人の夢であった。PAC住宅は、その夢の実現をかなえて30年程度経つが、人の快適さへの欲求は限りがないのか、また、技術の進歩もとどめはなく、PAC住宅の健康な快適さへの対処も大幅に向上を続けている。

身体にとっての快適さは、温度と湿度のバランスによるところが大変に大きい、冬の快適性を単純に言い切ってしまうならば、家中どこでも20℃前後、湿度50%前後の環境が終日保てれば、ほとんどの人にとって健康で暖かな実感が得られると思う。PAC住宅では、その基本システムに「かくれん房」という独自の低温輻射暖房を組合すことにより、その快適で健康な空間を手に入れた。

それは単なる床暖房レベルとは異なり、床面だけではなく壁面と天井面、しかもリビングや寝室など部分的なものではなく家中の全ての空間でそれを実現したいわば究極の低温輻射暖房である。

同時に、それは空間を構成する材料をより本物へと推し進める結果となった。人の住む空間を取り囲む空間を構成する床、壁、天井、健康性と快適性を追求していけば、これらに求められる性能も大きくなっていく、美という感覚的なものは大変に大きな要素であるが、それを置いておいたとして、機能面で見ていけば、大きくは湿度の調整と肌触りと言える。

尚、PAC住宅では健康に悪い材料は使わないと徹しているので、ここではシックハウス的な観点では語らないことを前提としてすすめる。安全な材料を使う、そんなことは当り前すぎる大前提なのだから。

話を戻して、空間を構成する床、壁、天井の材料を、湿度の調整と肌触りから選択していくと、床は当然無垢の板材となり、最初は桧や杉から始まったものがナラやサワラ、栗が加わり今ではウォールナットなどと選択肢が広がっている。

壁、天井は、安全なクロスやのりからスタートしたが、前述の板材が使われはじめ、今では、本物の漆喰が主流となりつつある。漆喰が天井に塗れる、昔の神社やお寺のイメージではない、本格的でありながらアートな表現が好まれたものだ。

こうしたPAC住宅に「かくれん房」という専用の輻射暖房システムがより多く設置されてきた。かつて日本人が、否人類が体験したことの無い質の高い暖かさを味わっている人が続々と増えている。

「かくれん房」との付き合い方

「かくれん房」とは家全体を暖める蓄熱暖房システムであり、使いこなすには住まい手の知恵が求められる知的暖房システムでもある。
現在の「かくれん房」は、床下空間の土間コンクリートに配管されそこに温水が流される。まず土間コンクリートが暖められ、その暖かさがPAC住宅のエアサーキュレーションにのって建物全体に配られ、家中の床、壁、天井面が均一に暖められるという独自の低温輻射暖房システムである。

大変に大雑把に言えば、土間コンクリートを30℃前後に暖めると、床下空間や壁空洞そして小屋空間が25℃前後に暖まり、やがて家全体の床、壁、天井面が20℃前後になるというシステムである。

エアコンやFFストーブなどの直接的暖房機器とは違い、間接暖房と言える、それもかなり遠回りした間接システムである。それだけにその暖かさの質は高く、やわらかでさりげない優しさでつつみこんでくれる。その分、使いこなしていくには慣れが必要である。

 

「かくれん房」を使われている建主の話やアンケート

、そして自らも「かくれん房」で3冬目を迎えた体験者として、こんな風に「かくれん房」と付き合ったらいいのではないかというコツをまとめてみる。

まず、家族によって必要とされる暖かさが違う。これは最初に検討すべきとても重要な要素である。暖かさの実感は、個人差がとても大きいし、年齢や性別、またお住まいの地域によっても違いがありそうである。一般的に言えば、女性の方が寒がり、子どもよりも大人、大人よりも老人の方が寒がり、これに個人差が大きく影響する。

当然家族の中でも、暖かさへの欲求は同じではなく、調整にまず苦労すると思われる。我が家の例で言えば、二人家族であるが、男性は20℃で十分過ぎるくらい、でも女性は22℃はないと満たされていない。

もっともジーンズに長袖のコットンシャツしかも素足という冬では考えられないほどの軽装で生活しているのだが。家庭内の力関係で温度決定がなされることが多いと思えるが、理性的に判断できるのであれば、やや低めに設定して衣服で調整することがいいと思える。我が家では、男性が半袖シャツという衣服調整が多い、これは力関係か知的調整なのか判断をはばかるのだが。

アンケート情報によれば、「かくれん房」では建物全体が均一な温度で快適であるということは共通しているが、その温度帯はだいぶバラツキがある。16℃から22℃とかなり大きい。もっともマイナス10℃以上になるという寒冷地から0℃以下にはめったにならないという地域的なバラツキも影響しているとは思える。

また、「かくれん房」のシステムも時間の流れでいろいろなタイプ、また配管面積の差など性能面でも若干の差はあり同一に比較はできないとも言えるが、燃料代などを見ると性能を活かしきった使い方をしていないのではと判断もできる。オイルヒーターなどの補助暖房を併用されている家庭もみられる。

「かくれん房」使い方の提案

我が家の経験から、こんな「かくれん房」の使い方をしてみたらという提案をしてみたい。
生活空間が20℃前後がおよその目安と思える。このくらいの温度帯であれば、まず補助暖房は要らないと思えるし、かなりの軽装で暮らせる。PAC住宅で「かくれん房」による20℃は、普通暖房の20℃とは異なり、生活空間を囲む全ての面、すなわち床、壁、天井面が20℃前後になる独自の低温輻射暖房であるので、その暖かさの質、快適さは格段とちがう、とても健康的な暖かさである。
そして使い始めのポイントとして、室温が20℃を割り始めたころから「かくれん房」のスイッチを入れるということである。「かくれん房」は蓄熱暖房であるため、暖め初めには時間がかかる、我が家の最初の冬はスイッチONしてから効き始めるのに半日から丸一日かかったと記憶しているが、室温が20℃を下がらないように使用すると、そのストレスがない。
具体的に言うと10月の終わりから11月の初めに、一日2、3時間使用からスタートし11月の後半は4、5時間で20℃を割らずに済んでいる。12月後半の現在では、4時から9時までのタイマー運転プラス朝と夜の手動運転を3から7時間程度加えている。もちろん現在も20℃を下回らない。燃焼レベルは6段階の内の3レベルがほとんどで、冷え込むとの情報があった時に4レベルにしている。

この20℃前後の空間にする、メリットのひとつは、窓の結露が大きく減少すると思われることである。現実に我が家では窓にからむ結露は一切見られない。むしろ、温度を21、22℃に保つことにより乾燥気味である。相対湿度が40%を下回ることが多く、やや乾燥ぎみとなるため、あえて浴槽のふたと浴室のドアを開放し、湿気を室内に放出している。それでも40%前後となっている。

窓面の結露 

窓面の結露はいろいろな要素が絡みあって発生し複雑に思えるが、実は、単純なことでもある。一番の原因は窓面の断熱性能がまだ不十分だということ。PAC住宅はいわゆる断熱気密防結サッシと言われるアルミサッシが一般的に使用されている。ざっとした話ではあるが、外気0℃、室内20℃、湿度50%とした場合、カーテンも何もない場合は外気が0.6℃、カーテンがある場合は外気が3.6℃程度で結露が始まると採用しているサッシメーカーが推測している。この場合、サッシの表面温度が9.1℃になるという。

これから見て、窓面の結露を防ぐには、外気が0℃とすれば、室温を20℃以上にする、湿度を50%以下にすればいいことになる。我が家に当てはめれば、外気が0℃になることはめったにない分有利であり、さらに室温はおおむね21、22℃、湿度は40%弱であるから、データ上からも窓面の結露は発生しなくて当然ということになる。

この当たりを目処に、各家庭が「かくれん房」の使い方を工夫してもらえればと思う。ちなみに、ガラス面に防犯フィルムを張ったり、光触媒塗料を塗ったりすると若干窓面の結露には有利になるようであるし、雨戸を使用していれば断熱塗料塗ることは効果的でもある。これらは窓面の断熱性を高める工夫といえる。さらには、コストのかかる話ではあるがガラスを真空ガラスや発熱ガラスにすればとても大きな効果が期待できる。
また最後に、待望の「後付かくれん房」がいよいよ実現できる段階となった。「かくれん房」を設置し忘れた?建主の方に朗報になればと念じている。(田中 慶明 2005.12)

 

かくれん房も新バージョンに

 

どこにいても20℃前後、この家一軒丸ごと低温輻射暖房に暮らす快適さ、健康性は素晴らしいものであるが、暮らしすすむにつれて、改良点を見つけるにいたった。

それは、家事などで動き回っている時は申し分ないのだが、じっとしている時、例えば食卓についている時、書斎の椅子に腰かけている時など、足元が少しぽかっとしてくれたら、いいのにな! と感じるようになってきた。厚手の靴下でも履いていればいいのだろうが、何しろ素足生活、なおさらその感は増していった。

不満は次の技術発想・開発につながる。

たまたま新築時ではなく既存のPAC住宅に「かくれん房」をという希望がかなり寄せられていた。従来の「かくれん房」は、土間のコンクリートに埋め込むタイプ。これでは後施工、後設置はできない。当然、後からできる方法論が必要となる。これが大きなヒントとなった。

床下空間に温水の放熱器を置く方式ならば後からでも簡単にできる。しかもコストもコンクリート埋設型よりも安い。そして何よりも大きなメリットを発見するにいたった。それは、放熱器を置いたすぐ上の床がぽかっと暖かくなることであった。「これだ!」。求めていたものがここにあった。

足元は少しぽかっと暖かく、家全体も20℃程度に均等になっていく。

この放熱器を、比較的じっととしている場所の床下空間に置いていけばいい。食卓の足元、書斎の足元、洗面室、脱衣場、キッチンなど。

これは成功した。狙った通りの効果である。家全体が何ともいえずふわっとした20℃前後の温度環境、必要な足元は、ぽかっと暖かさを感じる。しかも、イニシャルコストも安く、蓄熱暖房ではないので、温度コントロールもしやすくランニングコストもコントロールできる、ということで、今では、この方式が主流となっている。

HP 放熱器設置タイプの「かくれん房」