会社の歩み
1994

1994

床下の毒ガスから自然素材へ

「床下の毒ガス」というショッキングなタイトルは、「農薬と環境破壊56話」という加藤龍夫先生の著書の一説です。
この本に出会う前ですが、家庭内農薬という言葉、そして暮らしの中には実にさまざまな農薬をはじめとする化学物質が知らずに使われていて、いつの間にか健康が脅かされているという事実を知り、実際の建物の材料はどうなのかと、そちらへ問題意識の目が向けられていた時に、この本と出会いました。

空気質という視点から住環境を考えることは今まで全く例がなくデータも何もないのが実態でした。そこで、当時横浜国立大学環境科学研究センターで教授をされていた加藤先生に相談し、PAC住宅の室内空気の分析を依頼しました。
考えてみれば今のように自然素材・エコロジー建材といったものが入手できる時代ではなく、PAC住宅もごく一般的に手に入る建材を使用していました。

PAC住宅は、PACスーパー越屋根換気口とPAC床下換気口を、夏に開放します。夏の期間は、床下から壁の中、小屋空間を通って外へと外気が流れますので、この時、建材に含まれている化学物質もPAC住宅なら抜けるのではないかと、直感していました。

そこで、新築直後の住宅と、一夏経過したPAC住宅の「空気分析」を依頼しました。使われる建材を事前に分析し、20数品目の化学物質が含まれていることを確認しました。その後、完成した建物の床下や小屋裏、室内数箇所の空気を採取し分析しました。

新築直後の住宅では、そのまま20数品目の化学物質が検出されましたが、一夏経過したPAC住宅は、一項目を除いて、機械では検知されない安全なレベルまで抜けていることがわかりました。

唯一抜けていなかった薬剤、それが「床下の毒ガス」、白蟻駆除剤だったのです。

白蟻駆除剤には、発がん性、奇形児が生まれる危険性いわゆる催奇性、身体の脂肪の中に入り込む脂溶性、難分解性、残留性がある恐ろしい農薬が使われていました。

健康住宅がこのままでは健康住宅でなくなってしまうと、会員会社を通じて、白蟻駆除は一切やめようとの姿勢を打ち出しました。当時、薬剤による防蟻処理は住宅金融公庫の義務付けの時代、建主の方のご理解のもとやらない姿勢を通してきました。

今でこそ、薬剤による防蟻処理は義務付けではなくなりましたが、そこに至るまでの間、住宅金融公庫をはじめ、研究機関や大学機関に、薬剤による防蟻処理の義務付けを外すべきと要望を出し続けたものです。

住宅の空気質を本格的に分析したのもPAC住宅が第一号のようです。
防蟻処理さえやめれば、一般的材料を使っていても、一夏で抜けることは立証されましたが、それでも当初から、素材を含めて健康な家をつくりたいという思いは捨てがたく、当時でも、何とか入手可能な自然素材・エコロジー建材から取り入れていくという姿勢で、PAC工法と広がり空間の間取りに加えて、自然素材を前提とする家づくりに進みました。

1997

清く豊かに美しく、
そして顔の見える関係に

20世紀は、物と金の時代でした。規模拡大・利益優先が至上命題でした。しかし21世紀の経済原則は、「清く豊かに美しいもの」になるとの強い思いがありました。
PAC住宅初期の1979年、「女性と老人」を大きな事業テーマに掲げていました。女性の力が発揮できる会社にしたい。当時は、女性が実力を出せる職業や環境はほんの一部、住宅業界では全くといって良い程でした。 老人、これは団塊の世代が第一線を退く2015年頃を見据えて話していたことです。 能力はもちろん、まだまだ体力のある団塊世代の第二の人生、お金をストレートに目的としない働きで本人も社会も豊かになれるそんな夢を抱いていました。
21世紀、思い続けてきた「清く豊かに美しく」という社会。
「清く」生きて、清い仕事をして、貧しくならない、いや「豊かに」なれる社会が実現できたら、そうした「美しい」世の中をつくりたいとの思いです。金儲けのためなら何でも売る・つくるという社会から、健康・自然・エコロジーへのシフトです。

私たちも家づくりを通じて「清く豊かに美しく」を実践しています。
心は、とても豊かです。経済的には?
室内空気分析でお世話になった加藤先生の一言「あんた達のような青臭い人間が、生き残れているんだから、世の中も見捨てたもんじゃないね」 加藤先生は1929年のお生まれ、先生がお元気なうちに「清く豊かに美しく」に少しでも近づけたらと願っています。

 

顔の見える関係

1977年から会員工務店を通じた家づくりをしてきましたが、1997年にPACグループを解散しました。「顔の見える関係」で、家づくりをしたいという思いからです。
PACグループ時代、会員会社を通じて、約5000棟のPAC住宅を建築してきました。しかし、住まい手である建主の顔が見えないということに、とても物足りない思いでした。
もっといい家づくりをしたい、着手から完成までを見届けたい、入居後の様子も知りたい、家づくりを通じさらに人間関係を広げ深めたいとの思いが強くなり、大きな事業転換をはかりました。

納得できる家づくり、それは、建主の顔、職人の顔、木材や使われる材料の顔、それを扱う人の顔が見えてこそのこと。 建主と顔を見ながら設計打合わせ、地鎮祭・上棟式と完成・入居後のお付き合い、職人さんと材料の顔が見えてちゃんとした家になると確信しています。

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