会社の歩み
1982

1982

健康住宅宣言
健=人+建

冬暖かく・夏涼しい、木造住宅を腐らせない家と、省資源・省エネルギーをメインテーマとしていたPAC住宅でしたが、もう一つの特性である健康性に着眼し、1982年、「健康住宅宣言」を発表しました。
建物の健康性をいち早くトータルに追求したのがPAC住宅です。それまでは木造住宅を腐らせないという視点から「建物の健康性」を伝えてきましたが、健康住宅宣言を機に、PAC住宅に「住む人の健康性」を、温度と湿度の両側面から説明に加えていきました。

建物内に温度差があると、冷たい所は、脳卒中など血管系の病気の引き金になりやすくなります。また温度の低い所は相対湿度が高くなり、カビやダニ、結露などの問題を生じさせます。

PAC住宅は、冬のエアサイクル機能により建物内の温度差がほとんどなくなります。

床下・小屋換気口を閉めた状態の冬期は、躯体内空間に太陽熱等で暖められた空気が循環し、構造材を守るだけではなく、相対湿度を下げて押入れや北側の部屋なども湿気やカビの害から守ります。
1982年の健康住宅宣言をうけ、より具体的な理論付けを行ったのが「健=人+建」です。
健康の健の字は人と建物。それを「けんイコールひとプラスけん」と読み、建物と人の健康は極めて密接な関係があることを示しました。

さらに、人の健康については「こころの健康」と「身体の健康」、建物については「耐久性」と「耐用性」この4つの健康性を実現した住宅をPACの健康住宅と定義づけました。

1.こころの健康・・・家族のさりげない自然のふれあいが増える「広がり空間」の間取りで実現。

2.身体の健康・・・湿気や温度差そして建材に含まれる化学物質が原因となるアトピーや化学物質過敏症そしてヒートショックなどに「PAC工法」で対処。

3.耐久性・・・湿気や温度差が原因となる床下や壁の中などの見えない結露「内部結露」を「PAC工法」で対処して、構造材の腐れを防ぎ建物の寿命を延ばします。

4.耐用性・・・家族構成も10年・20年経つと大きく変わってしまい、何LDKの個室型間取りでは使われなくなってしまう空間が多くなってしまいます。融通性の高い「広がり空間」の間取りで何十年経過してもすべての空間を有効に使えるようにします。

 

広がり空間の間取り

健康に良い間取りといえば「風通しと陽当たりが良い」ということになりますが、当時の間取りはそうなっていませんでした。
ちょうど欧米の影響を受け、間取りといえば何LDKという時代です。個室を重視したこの何LDK間取りは個室と個室を結ぶ動線として中廊下があり、この中廊下は各部屋を分断しますから、風も通り抜けにくく、南の部屋に入る太陽の光も奥の部屋には届かない、健康という面から見ると問題だらけの間取りだったのです。
この何LDKという強烈に根付いた思想を打ち破るのは大変なエネルギーでした。
まず否定しなければ何も始まらないと、中廊下はやめましょう、子供室の個室化はやめましょう、玄関からすぐ2階に上がる階段、玄関の上の吹抜け、これもやめてリビングの中につくりましょう、ドアをやめて引戸にしましょうなど、広がり空間の間取りの考え方をわかりやすくパターン化し「LDK間取りへのアンチテーゼ」として発表しました。

どのスペースへ行くにもリビングを経過するという考え方はかなり強引ですが、家族のふれあいという側面からはとても重要でした。
個室も子供部屋についてはひとり一部屋という考え方ではなく、大きくつくり子供の成長に応じて仕切っていく、子供が出て行った後は、また大きな空間にすることもできますというつくり。
個室の使用目的を限定しないということもありますが、できればリビングの中に書斎スペースや家事スペースを設けるといったつくりにすることで柔軟性のある暮らしが実現できたと思います。

そして、引き戸の良さを改めて強調しました。普段は開けておき、必要に応じて閉じ方を調整できる引き戸ならではの実用性の高さはドアでは得られないものがあります。

広がり空間の大きなメリットは、「小さくつくって広々暮らす」ことができることです。何LDKと比べて、建築面積を小さくしても、逆に広々とした空間がつくれるのです。

その後1997年に、PACグループを解散するころには、広がり空間の考え方も、かなり広く一般に受け入れられる様になっていました。「LDK間取りへのアンチテーゼ」としての役割は十分に果たせたと思っています。

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