尾山台に住む

地下室 2003年8月~12月のデータから

尾山台の家

尾山台の家
地下室 A

尾山台の家
地下室 B
井戸がある。

尾山台の家では最初、地下室をつくる計画はなかった。しかし設計中、数人の方にPAC住宅で地下室はどうなんでしょう?と真剣な思いを伝えられ、思い切ってつくろうとなった。
どうせつくるなら2タイプにしようと、地下室Aはコンクリートの内側に断熱ボードを張り、土間コンクリートに「かくれん房」の配管をして床暖房とした。地下室Bは無断熱とし「かくれん房」の配管もしなかった。ちなみに地下室Bには井戸もある。ただし空間的には地下室Aと地下室Bはつながっているので引戸で仕切ることとした。
ねらいは地下室Aは居室とした時の可能性を探り、地下室Bはワインセラー的に少しヒンヤリした空間をともくろんだ。
構造的にはPAC住宅の躯体内空間とは独立した形で性能もPACの機能そのものとは直接関係していない。また、地下室AとBそれぞれに換気扇を1つずつ設置した。

地下室Aは四畳半が2つのスペース、地下室Bは二畳大である。
仕様は断熱のあるなし意外は同じで壁は漆喰仕上げとし、ついでに井戸の回りも漆喰と奮発した。床と天井そして地下室Aの壁の一部はさわらの無垢板とした。ただし床面は土間コンクリートの上に6㎝角の桧材を打ちその上に下地材なしでさわらの床板をダイレクトに張るという安普請である。
地下室Aの土間コンクリートには「かくれん房」で使用している架橋ポリエチレンパイプを埋設し冬は温水を流した。かくれん房とは違って土間との距離が極めて近いこと、そして、その間の空気が流れてはいないことで使用感は床暖房的である。かくれん房と同じボイラーから温水をとっているため流れる温度はかくれん房と同一になり、1階以上のかくれん房が効く空間と比べると2℃から3℃程度高く、暖かさをダイレクトに感じる空間となった。また、床下地材なしでさわら板をダイレクト張りしたため、暖まった土間コンクリートの影響を直接受け、床板のきしみや隙は予想通りさけられない結果となった。ちなみに1階以上の空間では土間から床面までの距離があること、空気が流れていること、そして下地が二重以上になっていることなどで床板は保護されきしみも隙もほとんどない良好な状態である。

2003 年6月24日、尾山台の家に引越してきたが、いまだ漆喰の仕上げを一部塗っている状況であった。また、淡路島から腕のいい漆喰軍団に二度にわけて2週間程きてもらったが、梅雨どきのため塗っている最中はほとんど雨という状態であった。当然、乾きは悪く、特に地下はPAC機能の特長である壁の裏での通気もなく心配させられた。入居後1ヶ月以上2台の除湿機を回しっぱなしにしてようやく落ち着いた。その直後から地下室のデータを取り始めた。
データをこまかく見ていく前に、体感に基づいた感想を述べてみる。
現在は2004年3月末であるが、昨年の8月以降今に至るまで湿気の問題に悩まされたことは全くない。冬などはむしろ乾燥ぎみと言える。
断熱していない地下室Bをワインセラーにと思っていたが、地下室Aとほとんど温熱環境は変らずワインセラーを別に購入するはめとなった。冬も地下室Aと変らずとても暖かい空間となった。喜ぶべきか悲しむべきか・・
また地下室Bにある井戸から相当湿気が上がってくるのではと桧の分厚い蓋を用意したが、実際は蓋を開けても湿度は2~3%程度しか上がることはなかった。
いずれにしても、今回の体験からわかることは地下室を快適な居住空間にすることは十分可能であるということである。
あとはデータにそって見ていこう。

尾山台の家

最高気温は外気と比べて7℃から8℃程度低い。最低気温は外気と同程度であるが、地下室の1日の温度変化は極めてすくない。地下室Bの相対湿度が地下室Aと比べて少し高いのは、温度がAよりも低いためと漆喰が最後に塗られ乾燥が遅れていたためである。地下室Bの温度がやや低いのは、断熱がされていないため周りの土の温度の影響と考えられる。また、全体にまだコンクリートや漆喰が乾燥しきってはいない状況と思える。

尾山台の家

8月3日~5日のデータと比べて、地下室Aの温度上昇が目立つがこれは地下室Aは断熱されていて地熱の影響を受けていないこととコンクリートの室内側に断熱されているためコンクリートを蓄熱体として使えない、すなわち熱容量の小さい空間になっているためと考えられる。

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8月のデータと同様に、地下室Bの温度は終日安定しているが、これは断熱がされていないため、地熱の影響を受けていることと、周りのコンクリートなどが蓄熱体となり温度変化を緩和していると考えられる。

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外気が下がり始めてくると、地下室Aよりも地下室Bの温度が3℃程高くなってきた。これも地熱の影響と思える。地下室Bは断熱されていないため周りの地面の温度影響を受けている。この時期、外気は急速に低下してくるが地中の温度は簡単には下がらないため、地下室Bの温度も、断熱されて地熱の影響を断っている地下室Aよりも高く保たれていると考えられる。

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ようやく地下室Bの乾燥度が地下室Aと同じレベルになってきたと思える。また地中温度も外気に応じて低下してきたようで、地下室AとBはほぼ同じ温度帯となり1日の温度変化もほとんどなく安定している。地下室Aの土間コンクリートにまだ温水は流れていない自然の状態である。

尾山台の家

地下室Aの土間コンクリートに温水が流れ床暖房の状態となった。地下室Bもその影響を受け温度が上がっている。地下室Aの温度が若干低いのは、地下室Aには1階につながる階段があり、熱が少し逃げているためかと思われる。湿度はほとんど同じ状態となっている。

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