尾山台に住む

冬の室内自然換気

最近の建物は外壁に換気扇のフードなどがやたらと数多くついている。これはあまり美しくない。尾山台の家ではこれを極力少なくしようと考えた。
結果として、外壁についたフードは東側2階に2ヶ所、西側1階に1ヶ所、北側1階に1ヶ所の合計4個とスッキリした。それも小さいフードで統一された。それ以外に、地下室の換気扇用フードが基礎近くについているがこれは目立つことはない。
東側2階は、キッチン換気扇とその給気口用である。西側は洗面室用。北側は浴室用と最小限度にした。個室トイレにもなく、室内換気口もない。
2003年7月以降室内の機械換気が義務づけとなった。室内換気は当然必要であるがそれを機械でと義務づけるとは・・悪法のひとつ。
いずれにしても尾山台の家はそれ以前であるから何ら問題はないのであるが、機械を使わなくても十分な換気を確保するような工夫をした。そのポイントを整理してみよう。
まず間取りがオープンである。基本的に個室はない。寝室も収納室とコーナーの書斎そして洗面・浴室と連通している。ドアを開ければ、玄関スペースから階段を通じて2階に連なる。2階はトイレを除いてワンルームである。寝室と2階トイレのドアはアンダーカットがされている。その他、引戸が2ヶ所あるがほとんど開かれている。当然、個室の息苦しさもなく、空気の流れも良い。
それを前提として、建築的手法で室内の換気が計れるように工夫をした。
ちなみに尾山台の家の気密性は2平方センチちょっとである。換気の工夫なしというわけにはいかない。

まずキッチンの換気であるが、ドイツ製を使用したため別途に給気口を設けた。これは電動で開閉できるタイプであるが現実には真冬でもオープンにしたままである。それでいて隙間風や外部の音に悩まされたことはない。
2階のトイレは個室としたが換気口は設けてはいない。使用時には便器の中の換気扇が回っているし、必要時に窓を開ければいいと考えた。窓は、セキュリティの所でもふれた例の頭の入らない巾細の縦長ジャロジーである。冬以外は、外から見えない程度にジャロジーの羽を開けておく。冬は閉じきっているが不自由はない。天気の良い休日に時たま開けておくといった所である。
1階の浴室と洗面に一個ずつ換気扇をつけたが、使う頻度は低い。浴室の3枚引戸は使用時以外はいつも開けているし、同様に浴室と洗面に設けられた例のジャロジー窓は、冬以外、常時開放している。ここのジャロジー窓も天気の良い休日に少し開ける程度である。換気扇も1日10分使うか使わないかという状態である。暖かさの質その4でふれたが、浴槽の蓋を開けて湿気を室内に供給しているためである。それでいて結露も息苦しさもないことは前にも少しふれた。

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2つ並んでいるのは
キッチン換気扇の
排気口と給気口。

浴室の排気口

地下室の排気口。
基礎のコンクリートに設置。

洗面室の排気口

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左側が給気口。
電動で開閉ができるが
実際は開いたまま。

台所換気扇の給気口

2階の個室トイレ。換気扇はついていない。細長ジャロジー窓を開閉する。

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1階はオープントイレ。
左写真の換気扇は洗面室と
兼ねている。
トイレ使用後にはあまり回
していない。

洗面室の換気扇

気密検査の様子

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細長ジャロジー窓は冬の室内換気にも大活躍。

浴室の天井換気扇

実は尾山台の家では、室内自然換気の新しい試みを取入れている。屋根の棟部分に設けた換気口が室内空間に連通し、冬でもオープンになっている。開口の大きさも巾10センチ長さ1メートル程度と大きい。
PAC住宅は夏のシステムとして、床下や内壁そして天井裏をつないだ躯体内空間に発生する空気の流れを積極的に活用している。そのためのキー部材として屋根の棟部分につくスーパー越屋根換気口がある。空気の温度差と風の力を使い、モーターやファンなど機械はない。このスーパー越屋根換気口を室内自然換気に応用した。
簡単に言うと、ロフトの天井にこの換気口と連通する換気ダクトをつくり室内とはガラリで仕切っただけである。
スーパー越屋根換気口の特長は負圧利用にある。すなわち風は吹き込んでくることはなく引き抜く一方である。冬以外は、各所に設けられたジャロジー窓を開いて外気を取入れ最上部のスーパー越屋根換気口から抜けるという風通しが得られる。セキュリティの所でふれたが、このジャロジー窓の巾は人が通れないサイズであるから開けっ放しでも安心安全である。

冬はジャロジー窓は閉じるが、最上部のスーパー越屋根換気口は開いたままである。開き具合は調整できるので、2月現在は半分程度開いている。この換気口はロフト上部にあるが、ガラリ直下に食卓という配置になっている。ガラリから外部の冷気が侵入しロフトも冷え冷え、食卓の足元にも隙間風がと思われる方もいるだろうが現実にはそうしたことはまったく感じない。我々2人が鈍感ということではなく、ロフトとリビングに設置された温湿度計もそれを証明している。

いわば斜め天井の最上部に、雨も冷気も入ってこない細長の大きな穴がいつも開いている状態といえる。気密の良い大空間、その最上部に1ヶ所穴があいている。もし他に穴があれば空気の流れは生ずるが、1ヶ所だけでは風の流れは生じない。それでいて塞がれてはいないという不思議な空間である。この空間のメリットの1つとして、ドアを開閉した時の空気のバウンドがない。ある程度の気密性を有する空間でのドアの開け閉めでは空気の圧力連鎖で他のドアががたついたり、開け閉めしているドア自体に圧力を感じたりするが、尾山台の家ではそれがまったくない、なにしろ、一番てっぺんで外に抜けているのだから。当然に機械音も微振動もない。

こうした空間で実際にどのくらい室内全体の空気が入れ替わっているのかはデータ的には定かではないが、玄関ドアの開閉、時折開ける寝室や洗面などの窓、そうした際には空間全体の換気が瞬時行われていることは間違いないし、身体に感じないレベルの対流現象で空気が少しずつ入れ替わっていると思われる。それが身体に感じにくいのは、建物の最上部にあるため室内側の暖かい空気がダクト内を上昇する時に外気冷気と熱交換している可能性がある。
いずれにしても全ての開口部を閉じていてもまったく違和感がなく息苦しさもない。これは使用されている材料がトコトン安全な自然素材にこだわっていることにも当然関係している。
やがては公的に認定されると期待している室内自然換気に先行した試みとして大いに意義あるものと自負している。

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左側のスーパー越屋根換気口を室内
自然換気用に使っている

右側のガラリからスーパ
ー越屋根換気口につなが
っている。
左側は天井点検口の蓋。

ガラリの内部。上部の細長い
開口からスーパー越屋根
換気口につながっている。

細長い開口

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ガラリ

開閉装置も内部に設置されている

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