HOME >> つくる >> PACの仲間たち >> 鍛鉄作家 筒井哲平さん

鍛鉄作家の筒井哲平さんには、手摺、フック、照明、オブジェ、バナナスタンドなどPAC住宅でも様々な作品の製作にご協力いただいている。茨城県笠間市にある工房とご自宅にお伺いしました。筒井さんの周りには「つくる」魂が溢れていました。


鍛錬する鉄を熱する。炭のように見えているのはコークス。



熱せられた鉄を機械を使って叩く。太さや長さをある程度足で機械の動きを調節し、手で叩く位置を加減する。


冷めないうちに、ハンマーや大きなペンチのような道具を使いながら形作っていく。

 



上)お父様が手づくりのご自宅。下)ご自宅と同じ敷地にあるお母様のアトリエをバックに。

 

ガウディに呼び止められた

陶芸家のご両親の元で育たれ、小さい頃からものづくりの世界へ進みたいとの思いをお持ちだったのかと伺えば「いえいえ。高校時代は音楽に夢中になり、音楽系の専門学校に進んだのですが。上手い人はたくさんいるし、諦めちゃった。卒業後メキシコタイルの内装をする店でアルバイトしていたら“つくる”ことが性に合っていたみたいで。面白いし、何をやっても上手くいくんで。」
ここで筒井さんが鉄の世界に踏み込むきっかけとなる作品に出会う。「メキシコタイルということから、ガウディの作品集など見るようになって。その中でグエル邸の“ドラゴンの門”を見て、すげーなって。つくってみたいなと思って。」それまで鉄に特別関心があった訳ではない筒井さんの行く道を決めてしまったガウディの作品。銅板機具職人の家に生まれたという天才建築家ガウディが、筒井さんを呼び止め、筒井さんがその声を逃さず聞いていたと思える様なエピソードだ。

つくることが自然体

その後トランスファー(PACの仲間たち6参照)での修行などを経て独立。笠間に工房を構えて4年目になる。「隣が石屋さんなんですけど、この辺りは石が出るので石屋さんが多く、それに付随して石切りの道具をつくる鍛冶屋さんも多かったんです。なので自分の仕事も、“あ〜鍛冶屋さんね〜。”という感じで自然に受け入れてもらえた感じです。」笠間は陶芸だけでなく、100年前から続く稲田石の産出地としても有名な地である。
冒頭、つくることに対して特段興味はなかったという筒井さんだが、筒井さんにとって「つくる」という行為はあまりにも身近すぎて、意識することがなかったのかもしれない。ご両親が作陶する姿が間近にあったり、ご近所にも創作活動をされている方が多いそう。お父様がご自身でつくられたというご自宅、筒井さんが仕事の合間に少しずつつくっているという工房の外壁などを見ても、筒井さんがものづくりの道に進まれたこと、そして鍛鉄の世界に身を置いていることがとても自然な流れであるように思える。

つくることに垣根をつくらない

デザイン、製作、納品等、作業のすべてを一人で行っていらっしゃる。大きな作品を1人で持ち上げたり運んだりするのはひと苦労、制作以外にもいろいろな作業に時間が費やされ、無理がかかることもある。「納期が厳しい時は睡眠時間を削ってました。」
今後はインテリアなどもやってみたいとおっしゃる筒井さん。「様々な分野の方とコラボレーションできるのは新鮮です」「鉄以外のことにも挑戦したい」と意欲的なお話もうかがえた。

筒井さんの工房名「extravagante」は、スペイン語で「奇抜な、突飛な」 という意味。「今までに無い面白い物を考えて行こうと思い名付けました。 かといって奇をてらったもの、逆方向に進むという訳ではなく、 視点を変えた閃きみたいな物を表現できたらと思っております。」熱い鉄を叩く様子はリズミカルに演奏をしているようでもあった(筒井さんはギターをやっていたそう)。筒井さんの自由な発想による、感性溢れ出す作品が、鍛鉄の音楽とともに生まれ出ることを、これからも楽しみに待つことにしたい。

  • works PAC住宅に制作いただいた作品等ご覧いただけます。

 

 

 

1974年生まれ。1996年ガウディのグエル邸門扉に魅せられ、鉄を志す。1997年品川高等職業訓練校「金属造形科]卒。1997〜2004年倉田光太郎、畑中悟朗(トランスファー)に師事。2005年工場を茨城県笠間に設立。ハンズ大賞入選。門扉、表札、手摺、照明、家具等、住宅や店舗の鍛鉄製作にとどまらずオブジェ、舞台美術等アーティスティックな製作も行う。
Iron work el extravagante
http://www.e-vagante.com/