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住む方のよろこびは造り手のよろこび

建て主の暮らしや感性をかたちに、一軒一軒個性豊かな家を現実するためには、職人の技量が不可欠。そしてその中心をなす大工の存在。首都圏のPAC住宅の大工工事を数多く手がけていただいているカーペンターズ。親方の北澤さんはじめ、宮城さん、石塚さんを現在建築中の現場に訪ねた。

上棟は大工にとってこれから始まる工事の、先ず始めの大仕事。右から北澤さん、宮城さん、石塚さん。

現場担当者と材料や段取りなどを確認し合う。

建築現場は夏暑く、冬寒いのが当たり前。「PAC住宅の現場は、夏は涼しく、冬は寒さをしのげて、身体が動きやすい。」と嬉しい言葉をいただいた。

職人を育くむ一品住宅。職人に生かされる一品住宅。

 

無口、頑固。この先入観は間違いとわかっているものの、やはりどこか「職人の方は口が重い」ことを前提に、構えてしまう。休み時間にお邪魔するとはいえ、お仕事中の現場に伺うのは緊張するものだが、カーペンターズのみなさんはこちらの緊張をほぐしてくれるかのように、気さくにお話いただけた。

手間暇がかかる分やりがいがある

オーダー家具製作の依頼をきっかけに、7年前から建築工事を手がけていただいている。「設計のグレードが高くなる程に、それをかたちづくるために施工期間もかかってきます。」と北澤さんは話す。「壁、窓周りなども、斜めにしたり、曲面をつくったりすれば、一般的に直角におさめるのにくらべて手間がかかります。さらにそこに漆喰をまわすなど、仕上げとの関わりも考えなくてはいけない。図面上では一本の線で表現されるようなものでも、それを実際の形にするために、知恵を絞り手を動かす。でも手間暇がかける分、やりがいがあるなあ。」宮城さんからは「“ここどうしたらいいかな‥”って悩むのが楽しい。もっとこちらが悩むような設計してください!」とありがたいお言葉も聞かれた。

柔軟に受け止め仕事を楽しむ

カーペンターズはPAC住宅の建築以外に、家具製作、店舗や事務所、マンションのリフォームなどの仕事もされる。「大工工事とひと言でいえそうだけど、それぞれ全く別物。たとえばPAC住宅の新築現場では外と中で履物を履きかえるが、他の現場ではそれが必要ないなど、工事中の神経の使い方に始まり、物の造りを考える視点も、全然違う。たとえて言うと、日本料理とフランス料理が全然違うのと一緒。PAC住宅は繊細だから日本料理みたいなものだね。」似ているものに思える仕事も実は違いが大きい。違いの大きな仕事をされて、混乱、戸惑いみたいなものはないかと思うが、北澤さんの表情からは、作業の違いを柔軟に受け止め、「違い=バリエーション」として、楽しさととらえているふところの深さが窺える。

素材を見極め心を込める。

北澤さん、ご自身で自分たちのキャッチコピーを2つ、考えてくださっていたという。ひとつは表題に使わせていただいた「住む方のよろこびは造り手のよろこび」。そしてもうひとつは「素材を見極め心を込める」。 規格品とは異なり、自然素材は湿度、温度変化など周りの環境に左右されやすい。また無垢材などは色味、木目ひとつひとつが違う。「たとえば窓枠に使う材料は、ひとつの窓で色味や柄が揃うように選んで使う、きれいなものはあらかじめとっておきリビングなどメインの空間に使うようにしています。そのように(配慮)したことが、住む人に意識されなくても、肌身で感じてもらえるものだと思っています。」

柔らかな表情そして会話から、北澤さんはじめカーペンターズの皆さんの魅力は、仕事を楽しむ気持ち、柔軟な考え方を持っていらっしゃること、そして施主、現場担当者など「人」に対して、また材料や建物など「物」に対しての気遣い、優しさがあることのように思う。北澤さん自身がつくってくださった表題が語るのと同じように、心ある大工さんにPAC住宅をつくっていただけることはスタッフにとっても「よろこび」である。設計、技術、材料、そして「人」、すべてが揃って、一品住宅はつくられる。

大工 カーペンターズ

東京都足立区。(中央)北澤伸一さん(57歳)は18歳の時からこの道に。造形美術に 興味があり、若かりし頃はテレビ番組の大道具を製作されていたこともあるそう。 (右)宮城敬さん(38歳)は現場を盛り上げるムードメーカー。ひょうきんな一面の 奥に20年の経験に裏打ちされた腕が光る。(左)石塚司さん(29歳)は北澤さん、 宮城さんにつき現在修行の真っ最中。