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年輪は時間をかけて刻まれる

地元西川材のヒノキ、スギを中心に、大黒柱のような大きなものから床板の下に並ぶ根太などの細かい材料まで、家づくりに必要な木材の製材をされている川口材木店。木の乾燥が一段と進みそうな冬晴れの日、3代目の川口健一さん、4代目になる川口達也さんにお話を伺うことができました。

西川材は節の赤味が特徴。この赤味を特に好む人もいる。

PACでは柱や梁、土台などの構造材は、木の芯を中心にして材料をとる「芯もち材」を使う。芯を取り除いた芯去り材より強度の面で優れる。木の芯に近い部分は赤身と呼ばれ、白太と呼ばれる周辺部よりも木の組織の密度が高く色が濃い。割れは木の芯に向かって出やすいため、芯もち材は割れが出やすいが、強度に関係はない。

ある木材の断面。枝は太陽に向かって育っていくので、下が元(根本に近い)で上が末(先端に近い)。木材の末、元を知るのに、このようなサインがあればわかりやすいが…。

写真中央が死節。そのすぐ左上が生きている節。枝打ちされずに枯れた枝がそのまま木に付いているところが死節になるという。死節のある材料でも強度には問題がないそうだ。

 

木材は時間をかけてつくられている

国産無垢材はPACの生命線。1棟1棟で異なる木材の寸法、材種、分量。日頃からこちらの希望に細かく対応頂いている。
川口さんは山から切り出された原木(丸太)を、原木市場で開かれる競りで買い付け、乾燥させ、注文に応じて挽く。そして出来上がった木材を建築現場や、加工所へ運ぶところまで行う。
「時間に余裕を持って注文してもらえるといいんだよなぁ。」と気さくに話して下さる健一さん「乾燥に十分時間をかけたいからね。」無垢の木の家づくりに欠かすことのできない木材の乾燥。木は乾燥することで反り、狂い、縮みなどが出る。それらを十分出させてから製材することで、その後の反りや狂いが少なく、安定した木材ができる。
「ゆっくり乾かせば短時間で乾かすよりも狂いなどが出にくくなるし、準備に時間がかけられる分、一本の木から構造材と造作材をとるような工夫もできる。そうすればムダなく、色目もそろったものが揃えられるんだけどね。」
PACで使う材料は自然な風にさらして乾燥させる“自然乾燥”をメインにしている。原木市場で見る丸太の切り口は、木が含んでいた水分でびっしょりしているという。そのような状態の木を、材料によって違いはあるが数ヶ月単位の時間をかけて木材として使えるようになるまで乾燥させる。人工乾燥機では、7日〜10日程度で乾燥が済んでしまうが、木の水分と一緒に油分までが抜けてしまう。「艶がなくなり、匂いまでまるで違ってしまいます。」と達也さん。
 PAC入居者の方からよくお聞きする‘木の香りの良さ’‘部屋の空気が浄化されているような感覚’に無垢の木はひと役かっているようだ。「湿気の多い日本の気候を考えると、無垢の木は湿気を吸ったり吐いたりしてくれるからいいと思うよ。代わりに反りや狂いが出ることもあるけど、それは木が生きている証拠。」

良材は産地では決まらない

飯能の山で採れる木は西川材と呼ばれ、良材と言われるが、良材とは何を持って‘良い’とするのか。「秋田杉、吉野杉など木の名産地はあるけれど、産地よりも年輪の目の詰まり方が大事。目が詰まっている材がいい。素人が見ても違いはわかるよ。粗いものだと年輪の幅が、指1本分くらいあるから。産地は同じでもどの山の木か、日当たりはどうだったか、などによって違う。それはどこでも同じですよ。」

経験が重要な仕事

原木の買い付け、時に必要に応じ行う立木の伐採、乾燥そして製材。2本と同じものはない自然の木、どの作業も一筋縄ではいかない
時間をかけ乾燥させた木を、それぞれのクセを見抜いて、挽く。初めて目の前にあらわれる断面は予想以上に美しいこともあるが、その反対もある。「だからおやじが削っている時の表情を見ていると、面白いですよ。」と話す達也さん。発する言葉には仕事の奥深さを実感されていることがうかがえた。
木が自然の中で、長い時間をかけて年輪を刻むように、木を扱う仕事も、様々な経験を積み重ね、培われてゆく。 (2000 掲載)

川口材木店

健一(右)さんは「家づくりで大事なのは基礎、木材、大工の腕。きちんとつくれば100年は持つだろう。あんまり持つと仕事がなくなるから困っちゃうか(笑)。」
達也さん(中央)はこの仕事を始めて4年。「初めのうちは、スギとヒノキを見分けるのに触ったり、匂いを嗅いだり、かじったりもしましたよ。」
健一さんの妹の典子さん(左)も川口親子と一緒に仕事を手伝っていらっしゃる。製材の際に出る端材を整理しながら「木の匂いってほんとにいいですよね。」