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時を重ねる家具

戸山家具製作所は1948年創業以来、素材の良さを生かし、丁寧に、いつまでも使い続けられる家具づくりをする「意志」と「技術」が受け継がれている。
2代目の戸山顕司さん、3代目の顕一さんに神奈川県海老名にある工房を案内していただきました。

木目を斜めに使うのは、見た目に美しくないだけでなく、製作過程や家具そのものの強度の面でも良くない。木目を揃えるように材料をカットするため、どうしても「はじく」部分ができてしまう。

ダボで接合される家具が多い中、戸山家具では指物の技術でもあるホゾを使っての接合が守り抜かれている。2枚ホゾを使うことも。(写真提供/戸山家具)。

家具の表情を最後に決定づける塗装作業されているのは平石さん。戸山家具では自然塗料を使ったオイルフィニッシュのほか、ラッカー塗装を行うこともある。いずれも塗り直しや補修がしやすい性質を持つ。

オーダーメイドもされているため作る形が様々ある分、使われる刃物も数多くそろえられている。エアサイクル産業のケースも見られた。

戸山家具でつくられる家具はオーダーに応じ、オーク、ウォールナット、マホガニー、タモ等々、適材適所に様々な無垢の木が使われる。顕一さんが市場で仕入れてくる木材は、数年、中には十数年という期間をかけ天然乾燥、その後さらに人工乾燥機でしっかり乾燥させた材料が家具となる権利を与えられる。

 

ほんとうにいいものは長く使うことができる

創業50余年続く戸山家具製作所のポリシーは「長く愛される、使い続けられる家具をつくる。」2回目の取材となる今回も、このポリシーを工程、作品の両方から再認識することになった。
工房を訪問すると始めに目に入るのが「木取り」の作業室。木取りとは、乾燥を終えた木材が、まず家具の材料として切り出される作業のこと。色合いや木目などを見ながら、使う部分を決めてゆく。
作業の様子を見ていると、板の両脇が細長く切り取られている。何ですか?と聞くと「使えない部分を切り落としているんです。」と、木取り担当40年の村田さんが教えてくださった。「木目が斜めに入っていたり、白太(辺材の部分、心材とくらべて強度が低く、色が白い)の部分が入っていたりすると、見た目が美しくないだけでなく、製作の段階でもつくりづらいし、強度の面でも良くない。」
使い続けられる家具をつくる技術は、木取りの段階だけでなく、各々の製作工程でも見られた。ホゾを使った接合もそうだが、組み合わせるもの同士の木目をそろえることで、美しく、頑丈なものができる。今もしっかりと、その意志と技術が守り継がれている。

メンテナンス力が抜群

「長く使うことができる」ということの中には当然「メンテナンスが可能」ということも含まれる。今回、家具をリフィニッシュ(傷やはげた塗装の修繕)したものを実際に見て驚いた。「つい最近リフィニッシュしたんです。」と事務所で使われている下駄箱や収納棚を見せていただいた。見た目には新品と変わらないのに、それでも味わいが感じられるから不思議だ。愛着ある物が甦るのは、何とも嬉しいもの。「30年以上使っていて、木地が見えそうなところもあったんですよ。」このように直すことができるのは無垢の木の家具だからこそ。そしてやはり欠くことのできないのは、修復する「技術」があることだろう。

幅広く対応できるのは

デザインの面でも30年以上続くオリジナルデザインをはじめ、飽きのこないシリーズの家具、そしてオーダーメイドと、使い手のニーズに幅広く応えてくださっている。
社長の顕司さんより「ドアの飾り模様など、建具屋さんでも家具屋でするのと同じような仕上げをすることがあるけど、(建具はおもに)針葉樹と(家具はおもに)広葉樹の違い、塗装の違いがあるからか、建具屋さんと家具屋ではかたちが微妙に違うんだよね。」同じに見えるけど、どこか違うというのは、そのような「家具屋さんならではのつくり」からくるところもあったのだ。戸山家具ではつくるかたちに合わせてルーターの刃を自分たちでつくることもある。量産された道具を使って、大量に出回っている製品と違いが出るのはいうまでもない。わずかな違いは大きな違いでもある。

職人の方々は無駄のない動きで丹念に作業に打ち込まれている。戸山さん親子はじめ営業の方々は打合せ、納品等々、忙しく動き回っていらした。日頃一緒に仕事をされている顕司さんの奥様(顕一さんのお母様)も、元気はつらつ。電話応対の合間にお話を伺うと、家には自分、息子、孫と、3代にわたって使っている机があるという。「子どももいいものはわかるんですよね。大事に使うことを教えると、ちゃんと守りますよ。」

戸山家具によるPAC住宅での施工例の一部。
どちらかというとウォールナットは重厚感、ナラはさわやかな印象に。

ウォールナットの箱階段、ダイニングテーブル、チェア(尾山台の家))

 

洗面スペースの収納棚。ウォールナットを使用。(葉山の家)

 

ナラのカウンターテーブル、キッチン上部の棚板。(小平の家)

戸山家具製作所

左)社長の戸山賢司さん。家具塗装を専門にしていらした。家具の材料、製作についてだけでなく、植物としても「木」にも造詣が深い。
右)3代目となる常務の戸山顕一さん。現場での家具取付けやメンテナンスなど、日頃からお世話になっています
神奈川県海老名市今里1248
東京・自由が丘に直営店(ノックオンウッド)もあります。
http://www.knockonwood.co.jp/