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プラス思考の健康住宅づくり

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新しい発想の窓

「プラス思考の健康住宅づくり」1994年発行

 PAC住宅の省エネルギー性能は前述したように大きく、夏、クーラーはあまり使用されていません。しかし、冬の暖房はしなくていい所までいたっていません。もっと多くの太陽熱をとりこみ蓄えておければ、その可能性がでてきます。それでは、そのための建築的手法を探ってみましょう。あくまでも設備機器ではなく、建築的手法で行うことが肝心です。
 太陽光が最もあたる所に、ガラス面を設け、直接太陽光を建物内部にとりこむことが、最も効率のよい太陽熱取得方法です。つぎに、その熱を蓄えておくことが必要です。性能のよい蓄熱体がいるのです。
 さらに、ガラス面からは、熱はすぐに逃げてしまいます。そこで、太陽がかくれたら、すぐに、断熱のしっかりしたカバーが閉じられ、とりこんだ熱を逃がさない工夫が必要です。
 そんな新しい発想の窓を工夫しました。では、その窓の位置はどこが最適でしょうか。隣家などの外部条件にあまり影響されずに、しかも大きな面積がとれ、日照のいい場所が最適です。
 当然、南の屋根面ということになります。通常の天窓のように小さな面積ではなく、できるだけ大きな面積の方がいいのです。
 そして次のポイントとして、そのガラス面をおおう断熱戸を設けます。この断熱戸は半端なものではなく、相当に厚い性能のよい断熱材で構成されます。そして、太陽光をキャッチして自動的に開閉する仕組にします。
 冬、太陽光を感知して開き、太陽光がなくなると閉じるようにセットします。そして、つぎの大きな要素として、その屋根窓からとりいれた熱を、蓄える場所が必要です。PAC住宅でも、基礎や土間コンクリート、内壁下地の石膏ボード等に蓄熱する役割をもたせていますが、それ以上に大きな蓄熱体が必要になります。
 そして、この新しい発想の窓のユニークな所ですが、太陽光をとり入れる場所が選べます。設計に応じて、二つの空間が選定できます。
 一つは、吹き抜けなどを介して、家族空間などにダイレクトに太陽光を入れる方法と、もう一つは、室内にではなく、躯体内空間の小屋裏にとりこみます。
 南側に隣家がせまるなどで、日照条件が悪い場合はダイレクトに家族空間などにとりこむといいでしょう。これは普通の天窓的発想ですが、大きな開口面積と断熱カバーの自動開閉機能で、天窓とは、比較にならない性能を発揮します。
 間取り上ダイレクトに室内にとりこめない場合は、躯体内空間の小屋裏にとりこみ、その熱を利用します。PAC住宅ですから躯体内空間の空気循環によって建物全体にその熱が運ばれ、大きな暖房効果を発揮します。しかし、小屋空間の温度はかなりの高温になりますので、自然循環に加えて、小さなファンで下の躯体内空間に運ぶ必要があります。
 これも合理的にできます。この新しい発想の窓の太陽光キャッチシステムは、小さな太陽電池でおこないます。太陽光のセンサーとして使うのですが、小型のファン程度が回せる性能をもたせれば、低コストで一石二鳥の効果が得られます。
 前にもふれましたが、この新しい発想の窓の、最も大きな課題は太陽熱を蓄えておく蓄熱体です。太陽光があふれている昼間は暖かいのです。この暖かさはより一層夜に生かされるのですから、夜までとっておかなければ意味がありません。
 では熱は、どんなものに蓄えられるのでしょうか。簡単に言いますと重たい物なのです。PAC住宅で、基礎や土間コンクリートが蓄熱体として使われているのを思い出してください。木造住宅ですから、どうしても蓄熱体になるような重い物質は不足しているのです。
 さりとて、土間コンクリートをむやみに厚くしても余り効果は高まりません。熱交換できる表面積は、厚さを増しても大きくならないからです。蓄熱体は、一箇所に設置するより、広く薄くが効果的なのです。PACが、部屋周りの下地石膏ボードを蓄熱体として使っているのもその理由からです。
 太陽熱をより多くとりこんだのですから、もっと蓄熱体が必要になるのです。
 PACは、蓄熱体として土間部分と部屋周りをすでに、広く薄くの発想で使っています。その発想で残された場所は、一・二階のふところ空間や内壁空洞です。この部分に蓄熱体を設置すれば、課題は満たされそうです。
 つぎに、この蓄熱体の性能をもっと高めれば、理想的となります。例えば、二十五度以上では熱を蓄えて、十五度以下になるとその蓄えた熱を出し始める様な物体があれば最適です。
 それに加えて、建物内を空気がめぐっているのですから、その空気を浄化できる物質で構成されていれば最高点でしょう。