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プラス思考の健康住宅づくり

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日本人の木の家

「プラス思考の健康住宅づくり」1994年発行

 木の家に住みたい。これは多くの日本人の共通の願いでしょう。各種の機関がアンケート調査をすると、常に八十%程度の答えが木造住宅を建てたいとなるそうです。
 それだけ木に対する本来的愛着が強いのでしょう。しかし、実際に建築する時になるとどうでしょうか。日本の木の家である在来軸組工法の家が、今でも半数程度占めているというものの、その建築棟数は年々減少しています。健康な住宅をつくることが本書のテーマですが、木の家と健康の関わりはどうなのでしょうか。
 健=人+建の項目でも述べましたが、健康な住宅は、家族のこころの健康と身体の健康及び建物の耐久性と耐用性の四項目を、建築的手法で同時に実現することです。
 建築的手法、つまり、基本的に間取りと工法により、実現するということになります。そのための間取りの手法として、これまで広がり空間についてふれてきましたが、これからはその広がり空間を構成する工法について考えていきましょう。
 住宅の建築工法は様々なものがあります。大ざっぱに材料で分類すれば、木の家、鉄骨の家、コンクリートの家、それらの複合した家になります。健康という観点からみた場合は、どれがいいかは自明の理です。
 あまり理屈で考えなくていい問題でしょう。直感で感じた通り、アンケート調査に答えのでた通り、木の家が正解なのです。自然な材料の勝ちということです。
 では現在、木の家と言われている家、言っている家を検討してみましょう。これもざっと見ますと、まず在来軸組工法、プレハブ住宅系の木質パネル工法、輸入工法であるツーバイフォーやログハウスなどがあります。
 これらも細かく検討するよりは、健康の観点から直感してみてください。健康は以外に土着性の強いものです。健康を担う他の要素として食物と人間関係による心の問題がありますが、いずれも、民族性や国民性に大きく関わっています。 
 住宅も当然、土着性の強いもので、気候風土、伝統、生活習慣、人間の関係の仕方に大きく関わりあっています。カナダにはカナダ人にとっての、フランスにはフランス人にとっての健康住宅があるでしょう。当然、日本人にとっての健康住宅は、日本の気候風土や生活習慣の中で培われてきた工法の発展してきたものがあるはずです。
 それが日本人の木の家と表題をつけたゆえんです。それは当然のごとく在来軸組工法になるわけですが、では、現在の在来軸組工法が単純に健康にいいと言えるのでしょうか。
 ほんの百年位前と現在の在来軸組工法とを比較してみましょう。外見から見ていきますと、屋根は萱葺きから瓦等に、壁は土や板からモルタルやサイディングに、開口部は木製建具からアルミサッシへ、基礎は束石からコンクリートの布基礎へ変化してきました。
 内部はどうでしょうか。ほとんどが、柱や梁が露出していた真壁からビニールクロスに代表される大壁に、間取りも、田の字プランから何LDKへと変わりました。
 これらの変化により、地震や火事に強くなり、暖房も効くようになり冬の寒さからも解放されました。より安全、安心にしかも冬は暖かくなったのです。
 しかし、ここに思いもよらない問題が発生しました。これらひとつひとつのどの変化をとらえても共通して悪化してしまったものがあるのです。しかも、この日本の気候風土にとっては致命傷的なものが。
 そうです。すでにお気づきのように湿気の問題なのです。すでに前章でふれられているように、現在の在来軸組工法は、日本の中で育ってきたにもかかわらず、知らず知らずのうちに、すっかり湿気に弱い工法になってしまっているのです。
 日本において、健康な住宅を建築するには、在来軸組工法であって欲しい、しかし、その在来軸組工法も、もはや昔の様に湿気には強くないのです。 その結果、建物の寿命が縮み、湿気からカビやダニを発生させ、アトピー性皮膚炎の原因になるなどのていたらくです。こんな所にも、現在の在来軸組工法の低迷があるのかもしれません。
 さらに最近では、意識してか知らずか、追い打ちをかけるように、その在来軸組工法をさらに湿気に弱くしようとする試みが盛んになってきました。
 それは、新工法の開発という名のもとに、在来軸組工法と輸入工法の安易な組み合わせ、省エネルギーという名のもとに見よう見まねの高断熱高気密化がすさまじい勢いで伸びてきています。
 どうも最近の日本人は、日本の気候風土の特徴である湿気を甘くみているのではないでしようか。
 日本の木の家を、現代的な健康住宅として蘇らせるにはもう少し工夫が必要なようです。