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プラス思考の健康住宅づくり

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生きた書斎と応接間

「プラス思考の健康住宅づくり」1994年発行

 前項で、何LDKの間取りは、十年後どころか建築後すぐにも使えなくなる部屋が続出する間取りだと述べました。本当なのでしょうか。
 書斎、応接間、座敷などを思い浮かべてみてください。どの程度、本来の目的に則して使っているものなのでしょうか。書斎は、本を読み原稿を書く、あるいはデスクワークをする所です。応接間や座敷は、お客様をもてなす場所です。
 しかし、実際の使われ方を想像してみると、書斎はどうやら納戸のように使われているみたいですね。応接間や座敷には足を踏み入れさえしない日もかなりあるのではないですか。一般の家庭では、応接間にお通しするようなお客様は、年に数組もいらっしゃらないのが普通なのですから。
 これらは何LDKの間取りで、すぐにも無駄になってしまう可能性の高い部屋の代表例ですが、どうしてこのようなことになってしまうのかを、再度、思い浮かべてください。
 それは、実際の生活や使われ方に則して間取りがされてないからなのです。たとえば、書斎。ごく一般の家庭で、帰宅してからも部屋にこもって読書をしたり、書類を書いたりする生活をされている方は稀なのではないでしょうか。
 本好きの方でも、実際は、居間などで家族のそばで読まれている方が多いのではないでしょうか。読書しながらテレビを横目でながめ、家族とときどき会話をかわす、ながら族、こんな姿のほうが日本人には一般的なのかもしれません。
 従って、書斎はめったに使われませんから、すぐに納戸化しても不思議はありません。一方、応接間や座敷はどうでしょう。
 書斎は、あこがれの気持ちも手伝って設けるのかもしれませんが、応接間や座敷は、これまでの常識にとらわれていたり、見栄の感情が働くのかもしれませんね。なにしろ、ほとんど来ないお客様を想定して部屋を眠らせておくのですから。
 生活の実態にあっていない失敗といえます。では、これからの時代、一般的には、書斎や応接間はいらない無駄な空間なのでしょうか。
 そうではなく、いかに日常の生活スタイルに合わせてつくるかということなのです。日本人の多くは、思春期の時代や、受験勉強など、よほど神経を張り詰める必要のある時でない限り、個室に閉じこもることは好きではない国民性なのではないでしょうか。
家族に囲まれている雰囲気の中で、いろいろなことをするのがどうも基本的に合っているようです。
 そうであれば、書斎もその雰囲気の中に設ければ有効ということになります。広がり空間のポイントの一つに家族空間をひとつながりとして一体につくると、お話ししてきましたが、書斎も、家族空間の居間の中に書斎コーナーとして設ければ、家族全員で使えますし、納戸になるなんてことはないでしょう。
 書斎を堅苦しいもの、ステイタスシンボルととらえないで、家族全員で使えるちょっとした知的作業空間と考えれば、実際の生活スタイルに近いのではと思います。
 では、応接間や座敷はどう位置づけたらいいのでしょうか。さきほどは、書斎をコーナーに設け個室としないと提案しましたが、応接間や座敷もこの原則にあてはまります。
 個室として応接間や座敷をつくってしまいますと、結局、あかずの間になってしまいます。こんなにもったいないことはないのですから、普段も十分に使える工夫をしてみたいものです。そのためには、応接間や座敷を家族空間の中にとりこみ、一体としてつくるといいでしょう。
 もちろん、重要なお客様がいらっしゃった時には、仕切られ個室としての機能が果たせる工夫も必要となるでしょう。
 この仕切る役割を果たすのが引戸です。ドアでは無理なのです。ドアは、本来、閉じられているのが通常の状態ですし、それにドアストッパーで開いた状態にしても開口が小さいので、たいした広がりやつながりは期待できません。
 一方、引戸は、開いている状態も、閉じている状態も、また、部分的に開いていても、すべて自然なのです。
 この引戸を、たとえば、天井までの高さにする、全開できるようにするなどの工夫をすれは、必要時には、簡単に個室空間にすることができます。
 もちろん、普段は全開放しておき、家族空間にひとつながりとし広々使います。
 この引戸をいかに上手に使えるかが、広がり空間のポイントとなります。応接間や座敷ばかりでなく子供のスペースや書斎コーナー、玄関ホールの独立等に活躍します。同時に引き戸は、インテリアの大きなポイントでもあり、デザインも大いに楽しめます。