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プラス思考の健康住宅づくり

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便利な間取り、10年経っても使える子ども部屋

「プラス思考の健康住宅づくり」1994年発行

 便利な間取りとは、どのような間取りを言うのでしょうか。それは、生活がしやすいということではないでしょうか。ここでは、新築後十年経ったと考えて、便利に生活ができているかどうか、間取りを、子供部屋から見直してみましょう。
 家を建てる時、間取りを考えるのは大変に楽しいものですが、どうも共通した落し穴があるようです。それは、当り前のことのようですが、現在の家族構成と年齢構成だけでつい考え、設計図が決まってしまうということです。学歴の価値観が大きく変わりつつあると言われながらも、受験戦争は激しくなる一方の様子で、小学生から塾通いという姿は、今では当り前になってしまいました。当然、受験勉強をするための個室、子供部屋が必要になるということで、最初から子供の数だけ個室を設けておくのが当り前になっています。
 この子供部屋が十年後にどうなっているかを、想像してみることから始めましょう。二階建ての住宅で考えますと、一般的に、六畳程度の子供部屋が、二階の南側に、子供の数だけ並んでいます。最近のことですから、多くても三部屋程度でしょうが。
 新築時に、子供が小学生だとして、十年が経ちました。子供達は、大学生や社会人になっているでしょう。
 さて、子供部屋は・・・。答えは前章に書かれていましたね。子供達は家を離れている可能性が極めて高いのです。そして、子供部屋は納戸化していきます。二階の南側のいい場所なのに。
 子供がいつ帰ってくるかわからないということもあるかもしれませんが、実は、六畳程度の部屋が個室として並んでいるのですから、そんなに使い道がないのです。
 その事情は、子供が結婚して同居しようとしても変わりません。同居しようとすれば建て直す必要があります。かくして、子供部屋は子供の成長期の十年程度で役割を終え、建て替えを待つばかりとなっているのです。
 これは、何LDKの間取りの時間の経過に耐えられないほんの一例です。
 子供部屋は十年使えましたが、建ててすぐに使わない、使えない部屋が続出するのが、何LDKの間取りの実情なのです。そのことは、次にふれましょう。
 では、十年後もそれ以降も使える子供部屋とは、どのような子供部屋なのでしょうか。ふれあいが自然に増える家の項目でも述べましたが、基本は広がり空間です。すなわち、個室をつくらないことが原則です。六畳の個室がいくらたくさん並んでいても、便利に使えるはずもないのですから。
 基本的には子供部屋は、個室としてしつらえない、何もつくらないと考えてください。子供のとりあえずのスペースとして、二階なら二階に確保すると思ってください。
 二人であれば、十五から二十畳程度の広がりのスペースを確保できます。これは、一人に六畳の子供部屋と押入や廊下部分をとったものと同じ程度の大きさです。
 個室では六畳の広がりしかありませんが、一方はその三倍以上の広がりが感じられる空間です。同じ坪数を使いながら。
 そして、そのスペースの中で、子供の成長に応じて、家具や建具などで仕切る工夫をしながら、必要に応じて独立空間ができる工夫をしていくのです。一人でこもれる個室的空間も確保できて、普段は広々と使うことができます。共有スペースでの、子供どおしのふれあいも活発になります。
 さらに、その共有スペースが、吹き抜けを介して一階の家族空間とつながっていれば、家族全体のコミュニケーションがスムーズになり心の風通しがよくなります。
 吹き抜けが、玄関の上にあっても、家族のふれあいという観点からは、何の意味もないことがこれでご理解いただけると思います。
 さて、このように広がり空間の間取りでつくられた子供部屋の、十年後は、どのようになるでしょうか。
 もともと、がらんどうにつくられているのですから、子供たちが出ていった後も、がらんどうにすることができます。そのあとに、夫婦の趣味のスペースをつくったりすることも自由自在です。
 将来、子供夫婦と同居することも可能になります。もちろん、その可能性がある場合は、水回りの段取りを最初からしておけば一層便利に永く使えるということになります。
 広がり空間のメリットは、このように複合的だということです。家族のふれあいに富ながら、十年経っても二十年経っても便利に使える間取りなのです。
 さらには広がり空間の間取りは、子供たちを含め、家族の創造的生き方を高める一助にもなるでしょう。
 あてがい扶の何LDKよりも、生活の工夫を楽しめる余地がはるかに大きいのですから。