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プラス思考の健康住宅づくり

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「健=人+建」 ケン=ヒト+ケン

「プラス思考の健康住宅づくり」1994年発行

 健康の健の字は、人間の人という字と建物の建という字でできています。これは何を意味しているのでしょうか。健康は人と建物の両方で成り立つもの、住む環境が重要といった意味がきっと含まれているのでしょう。実際に、人間が健康に生活するためには環境が重要な要素となります。大きくは宇宙・地球環境から考えていく必要があるのでしょうが、ここでは人間にとっての最も身近かであり小さな環境である、住宅の問題を考えていきたいと思います。

 健康な住宅をつくるということは、どういうことなのでしょうか。健康という文字があらゆる分野で氾濫している時代でもありますので、一度、ムード的に流されないためにもこの基本的なことをしっかりとおさえておきたいと思います。
 まず健康とはどのようにしたら得られるものなのでしょうか。車社会になり歩く機会が減った、だからジョギングをすればいいのでしょうか。栄養のある食事をすればいいのでしょうか。ストレスの多さから逃れるために瞑想や気功などをすればいいのでしょうか。生活環境の悪化から身を守るために、浄水器や空気清浄器をつければいいのでしょうか。現代の私たちはどうも、これを食べれば、この栄養剤を飲んでいれば、この機械を使っていれば、この運動をしていれば、この宗教を信じていれば、と、いかにもひとつのことだけをやりさえすれば、真に健康が得られると錯覚しているところがあるのではないでしょうか。しかし、実際に、健康を得、そして、永く健康でいつづけるためには、ひとつのことですむはずがありません。

 トータルな方法によるトータルな健康の実現以外に道はないのではないでしょうか。正しい環境のなかでの正しい食事、正しい心の持ち方、正しい仕事や生活などの総合的実践を通じてのみ得られるのが健康なのでしょう。
 環境すなわち空気や水、土壌が汚染されていない。そこからの恵みである食べ物が健全であり、バランスの良い食事がされている。生活の中で適度な運動を自然にしている。心の持ち方がプラスで過度のストレスがない等、トータルな実践がなされていてこそ本質的な健康が実現されます。

 家づくりは、その健康づくりのたったひとつの要素にしかすぎないのです。しかし、住まいは家族にとっての最も身近かな環境であり、その環境が悪化してしまうと健康の実現などおぼつかないものになってしまいます 
 しかも、その最も小さな環境である住まい、健康の実現のたったひとつの要素にしかすぎない家づくりも、トータルで対策をほどこしていかないと健康な住環境にならないのです。そこに現代の住宅がなかなか健康になりえない要素が潜んでいるのです。
 健=人+建(けんイコールひとプラスけん)は、家づくりにおいてトータルな健康を実現するためのトータルな考え方とその実践を示しています。

 健康の健の字そのものが、すでに答えなのです。人と建物。健康な家は、住む人と建物そのものの健康を同時に実現するものだということを示しています。人間には、こころと身体があります。この両方の健康づくりに役立つ家が欲しいし、又、建物も永く役立ってもらうためには、腐りにくい、そして時間が経過しても使いやすいといった健康性が必要になります。

 人間の健康なこころは、子供のころからの家族の生活の中で育まれていきます。自然なふれあい、さりげないふれあいがその重要な要素になりますが、すでに述べてきたように現在の何LDK の家は、そのふれあいを少なくしてしまう間取りなのです。子供が帰ってきた時に、自然に家族の顔が見える、声が聞こえる、会話が生まれる、そんな家族のこころの健康にとってよい間取りでありたいものです。

 又、何LDK での十年後の様子を想像してみてください。二人の子供がいたとします。家を建てた時は子供は小学生と中学生でした。二階に六畳の個室をそれぞれにつくりました。十年後の現在の状況は・・・。子供はすでに大学生や社会人になっていますね。学校や仕事の都合で家を離れている可能性が大きいでしょう。そうなれば子供部屋は空部屋、おそらく納戸の様になっているでしょう。二階の南側の個室が、もったいない話です。時間の経過にも十分対応できて、便利に使える耐用性のある間取りが欲しいですね。
 十年で使えなくなる間取りにも困ったものですが、数年で腐りはじめる危険性のある耐久性のない家はもっと問題です。湿気に弱い現在の家は、腐りやすいばかりでなく、湿気からカビやダニの発生を呼び日本人にとって国民病とも言われるアトピー性皮膚炎や喘息、鼻炎などアレルギー疾患の原因そのものになってしまっているのです。

 家づくりの本質は、家族のこころと身体の健康を守り育て、そして建物の耐久性を向上させ、同時に何十年経っても便利に生活していけるトータルな健康性にあるのではないでしょうか。