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プラス思考の健康住宅づくり

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冬、家の中の冷たい所が癌

「プラス思考の健康住宅づくり」1994年発行

冬、家の中に冷たい所があるのは当り前と思っていないだろうか。玄関はもちろん寒いし冷たい、玄関ホールも廊下も、洗面所、脱衣所、北側の部屋、押入の中と。あげたらきりがない程、
家の中には冷たい所がある。考えてみれば暖房してない所、太陽のあたらない所はすべて冷たい所だ。
 ところがこの住まいの中の冷たい所が癌なのである。健康を害する要因がすべて集中してこの冷たい所でおこっている。
 アレルギーの原因となる湿気によるカビ・ダニも住まいの冷たい所で発生している。太陽が差し込む、ポカポカした部屋の壁にカビが発生したなんて聞いたことがないはず。押入が湿気るというのも冷たい所だからだ。ほとんど押入は北側にあって、太陽は射さないし、まさか暖房もできない。押入が湿気てカビやダニが発生すると、当然中の布団にもダニがつく。布団の中はダニにとってはますます繁殖しやすい環境である。押入の湿気の害はアレルギーを助長させることになってしまう。

 そして家の中の冷たい所は腐りということにもつながってくる。家がどこから腐るかというと、やっぱり冷たい所から腐ってくる。冷たく、ジメジメした所。北側の土台や水回りから腐ってくる。南側の土台から腐るということは考えられない。
 そして家の中のもっとも冷たいところ、窓ガラス。ガラス面もアルミサッシの枠も結露して水滴でびっしょりになる。まだ目に見える結露だから良いけれど、壁の中や床下、小屋裏などの目に見えない所が冷えていて、窓ガラスと同じように結露したら、その水滴は回りの木材を腐らせてしまう。壁の中の断熱、これも隙間があれば隙間部分が外気で冷やされ、結露する可能性があることになる。

 新しい家なのに隙間風があるといったら驚かれるかも知れない。何故なら、普通隙間風といえば外から入ってくる風のこと。今の気密の良い住宅でそんなばかなことはないと思われるだろう。しかし、暖房している部屋で家族が食事をしているとする。誰かが席を立って、廊下につながるドアや襖を開ける。するとその瞬間に、廊下の冷たさが足元を這うように入ってくる、覚えはないだろうか。実はこれも住まいの中に冷たい所があるため。室内の暖かい空気が上から冷たい廊下へと流れ、廊下の冷たい空気が下から室内へと流れてくる対流現象の一つなのである。

 窓は、何といっても室内と外をガラス一枚で仕切っている。ここでも不愉快な空気の流れが生じ、室内を部分的に冷やしている。コールドドラフト、冷たい気流という意味である。窓面で冷やされた空気は下降気流を生じる。窓の傍に座っていると腰や足元が冷えるのはそのためである。
 さらに最近の住まいで脳卒中の問題がおこっている。お年寄りが、夜トイレに立った時などに、廊下やトイレの中で脳卒中で倒れるケースが増えているというもの。脳卒中に限らず、心筋梗塞などの血管系の病の引き金になっているということである。どこで倒れるかと言うと、やはり住まいの中の冷たい所ということになる。冬を優先したつくりになって、昔の住まいより暖かくなったはずの現代の住宅。なのに何故こんなことがおきるのだろう。

 昔の住まいの廊下やトイレの冷たさは今とは比較にならない。外気と同じ位冷えていたはず。しかも床下がすけすけの風の抜ける様な住まいであれば、床面の冷たさは想像を絶する。昔の住まいは、もちろん廊下やトイレも冷たいけれど、寝ている部屋も冷たかったし、家の中のどこにも暖かい所などはなかった訳である。
 それだけ家の中が寒いという意識、覚悟をもって生活していたに違いない。今の住まいでは恐らくそういう意識はないと思う。
 生活している所はほとんど暖房をしていて暖かい。だから廊下やトイレが暖房している部屋と比べたら極端に冷えているということを忘れて生活してしまっているのではないだろうか、ましてや、寝室から廊下に出る時に、いちいちこれから寒いところに行くんだなどという認識をもてる訳がない。

 何気なく生活している中で、知らない内に大きな温度差をつくってしまう現代の家のつくり、そしてそれに気付かずに暖房室の温度を必要以上に高くしてしまっている私たち、双方に問題がありそうだ。
 最後に、害ということではないけれど、暖房していない、冷たい部屋はどうなっているか考えてみたい。恐らく、ほとんどこうした部屋は、使われていないのではないだろうか。

 せっかくつくった部屋が冬の間ほとんど使われないというのはかなりの無駄ではないだろうか。反対に、それでも生活できるということは最初から必要なかった部屋とも言えるかも知れない。
 住まいの中に冷たいところがあるのは当り前ではない。やはり家のつくり方に問題がある。