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プラス思考の健康住宅づくり

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こうして毒が私たちの身体の中へ入ってくる

「プラス思考の健康住宅づくり」1994年発行

 どうやって私たちの身体の中に毒が入ってくるのか。家庭内農薬など室内の空気が汚染されていれば、当然呼吸器系から入ってくる。直接触れれば皮膚からも入ってくる。そして水、食物などのように口からも入ってくる。
 中でも呼吸器系から入ってくる毒は、肺から直接血液を通して全身に回るため毒作用が早く現われる。食べた物は人体の解毒作用によってその現われかたが遅い。もちろん徐々に蓄積されていって、肝臓などがやられてしまうことになる。
 電気蚊とりや、臭いのない防虫剤などは、私たちの身体の危険を察知する嗅覚が効かない訳だから、知らないうちに多量の薬剤を吸引してしまうことになる。
 安心していられないのが、空中散布による農薬や、ゴルフ場などの除草剤である。直接散布された農作物の害は言うまでもないが、散布された農薬や、除草剤として使われた農薬は土壌から地下水、また川や海へと流れていく。そして毒が水中のプランクトンや藻といった微生物の細胞へ取り込まれる。
 そしてその微生物を食べる魚の細胞へ、またさらに大きな魚や動物、鳥などの身体へと毒が取り込まれていく。食物連鎖である。
 そしてこの食物連鎖の恐ろしさは、生態濃縮といって、徐々にその農薬濃度が濃縮されていって、最初の毒の数千倍にもなってしまうことである。
 そして最後に生態濃縮により、毒性の強まった魚や動物を食べるのは私たち人間ということになる。
 都会は車の排気ガスなどで空気が汚れている。しかし空中散布の農薬、松林にまかれる有機隣系の薬剤、農家のビニールハウスで使われる農薬・除草剤のことを考えると、地方へ行けば空気がきれいという神話はくずれそうである。
 生活していて、知らないうちに私たちの健康を脅かす毒が身のまわりには、山ほどある。家そのものを守ろう、土台や柱を食害から守ろうという主旨で使われている薬剤が、家を守ったはいいが住んでいる人間の健康を害してしまったという、本末転倒なことがおこっている。
 家を建てる時に行う防蟻・防腐処理である。せっかく建てた住まいがしろありに食べられてしまっては大変と、土壌に薬剤を撒く。土台、柱の一部に薬剤を塗布もしくは注入する。五年に一度は必要との事、反対に五年間も効力のある薬剤を使う事になる。畳やカーペットのダニ殺しとは訳が違う。長期にわたり効力を出すということは、分解しない、毒性の強い薬剤ということになる。
 しかしここで考えなくてはいけないのは、ダニの問題と一緒で、住まいがどう変わってきたかということである。昔の住まいは、床下もすけすけの非常に風通しの良いつくりだった。現在の床下はほとんど風通しなど期待できない。ダニにしろ、しろありにしろ、風通しの良い、乾燥したところになんか好きこのんで寄り付かないということである。
 だから家が腐らないように薬剤を撒くという発想ではなく、しろありが寄り付かないような家づくりを考えていかなくてはいけないと思う。
 農薬は著しい環境破壊の源なのだから。撒いたところだけでなく、十年、二十年の単位で環境を汚染する。大気・水の汚染、そして土壌の有益な微生物を殺傷し、生態バランスを破壊する。
 今、すべての農薬の使用をやめたら、年間一億人の食料が不足すると言われる。しかしその一方で飽食による現代病を生んでいる国がある。都合の良い理論だけを盾にせず、もっと本質的な対策を考えるべきではないだろうか。
 何かの薬剤がその毒性の強さから使用禁止となると、すぐに、新しい薬剤が生まれる。その毒性が判明するまでにどれだけの犠牲をともなっているかを考えなくてはいけないと思う。そうした反省にたって、少なくとも人間にとって害のないもの、自然・環境に迷惑をかけないものでなければならないと思う。
 日本の住まいは自然とともにあった。人間も自然の一部であり、決して自然を支配する存在でないことを、共通の認識として持っていた。
 住まいの中にやたらと薬剤が使われる現在の家。虫のいない清潔な家をという精神からかも知れないが、本当にそうだろうか。
 ショッキングな事かも知れないが、今の家は昔の家より埃が多い。昔は、はたきをかけ、箒でほこりをとり、水拭きをしていた。ぞうきんがけを日常の掃除で行っている家は今では少ないのではないだろうか。
 便利な電気掃除機がある。しかし意外とコーナーや階段の埃は見逃しているもの。こんなところにもダニが増えた一因がありそうである。薬剤に安易に手を出す前に、住まいのつくり、そして住まい方がどうなのかということを是非チェックして欲しい。