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やっと出会えた本物の家

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生き方、暮らし方を間取りのテーマにしたら

2008年新改訂版発行

 家をつくる時、こういう暮らしをしたいといった具体的なイメージが描けているだろうか。
人から示唆されたり、どこか印象に残っていた何かであったり、空想で描いていたイメージでは意味がない。
空想空間に自分をおいて考えるのではなく、これまでの生活の延長上にあるこれからの暮らしがあって、その暮らしを実現できる空間、欲を言えばその暮らしをもっと豊かに、より創造性を駆り立ててくれるようなそんな成長する空間をイメージできるのであれば最高だ。
 もしそうしたイメージが描けてないとしたら、家をつくる段階ではないのだと思う。何故なら、自分の間にイメージが描けてないとしたら、どうやって家づくりをすすめていくのだろう。自分の思い描くイメージが人に伝えられて初めて家はかたちになっていく。
しかし家族は複数の人間関係によって構成される。その一人ひとりの希望を叶えるよう家づくりをすすめようと思ったら、それこそいつになったら家がつくれるのかわからない。
 そうなれば夫婦がコアとなって、自分たち自身の関係を10年後、20年後、30年後どう育んでいくか、それが軸となって、さまざまな可変性に富んだ家族としての歴史が刻まれるのだと思う。不確かな要因、ひょっとしたらという考えは、この際できるだけ排除したい。その代わり、いつでも個室になり得るような、融通性のある空間を一つ二つ用意しておけば良しとすれば、自分たちの暮らしを見つめた家づくりができると思う。
 今までのように、不確かな将来像を想定した家のかたちではなく、自分たちの生き方を反映させた実態に則した家のかたちがでてくると思う。
 子どものために家づくりを考えて、自分たちよりも子どもを生活の中心にしてしまう例も見受けられるが、むしろ父親と母親の主張する家の中で、子どもがどう自分らしく生きていくかを考えさせた方が、よほど自主性なり創造性が養われるものと思う。
 また、せっかく一から間取りを考えて家づくりするのであれば、何か、住まいにその家庭のシンボルがほしい。そのシンボルが生き方や暮らし方の一端を語れるようなものだったら尚楽しいと思う。
 キッチンやダイニングが家の中心というのもひとつだし、家族や友人との集いの中で音楽を志向する仲間が多いということであれば、コンサートホールのような大きな空間が家のメインであっても良い。
 火、炎が精神的な面も含めて人の拠り所と思えるなら、囲炉裏の現代バージョンとして、暖炉が団欒の中心ともなる。
 読書好きの家族であれば、ライブラリーが家の中心、団欒の場になるかもしれない。団欒って、何も言葉を交わすことだけではなくて、共通の何かを同じ空間で楽しむということもある。
難しいのは音楽で、違うジャンルを同じ空間でというわけにはいかない。徹底すれば音楽室が二つ必要ということになってしまうのか。できれば一つの空間でお互いの趣味の音楽を聴き合う、演奏し合う、幅が広がるくらい受け止め合えれば理想なのだけど。それができなければ音楽室が二つある家なんてテーマもおもしろい。
 自分のせっかくの趣味をリビングの片隅で、というのはもったいないと思う。夫婦それぞれが納得のいく趣味室をまず優先してつくる。もし二つの空間がつながっていても支障のない内容の趣味であれば何々と何々の趣味を一つの空間で実現した家というテーマにでもなるのかな。
 ペットと人がお互いに理解し合って暮らせる家も大きなひとつのテーマになると思う。アニマルセラピーなどが見直される一方で、まだまだ日本の社会は、ペットと暮らせるような公共的な門戸は開かれていないのが現状だ。せめて住まいの中だけでもペットとの共生を実現したい。
 暮らしのかたちから、住まいのかたちを考える。そして住まい手、つくり手がもっと自己主張する家。自分らしく暮らせる空間、そのための家づくりじゃないのだろうか。